真言宗智山派の阿弥陀寺にある十一面観世音菩薩坐像。像高55.1㎝。右手を屈臂し掌を上に向けて前に差しのべ、左手は胸部に寄せて蓮花を挿した花瓶を執る。頭部に化仏をつけやや寸のつまった顔を示し、頸に三道を刻み、天衣を背面でタスキ状にしてまとい、右足を上にして結跏趺坐する。本像はヒノキ材、寄木造り、玉眼嵌入、漆箔像で大まかな木寄せをし、像底部は浅く内刳(ぐ)りをとって麻布を貼り、黒漆を塗った本格的な作柄を示す作品であり、中央仏師の制作になるものと思われる。
阿弥陀寺は志々伎神社の別当・円満寺の別院にあたる。明治2(1869)年に円満寺の廃寺にともない本尊である本像も阿弥陀寺へ移された。
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