この絵は、土御門天皇の勅命によって描かれた「円光大師行状図」(勅修絵伝)を冷泉為恭が模写したもので、大幅十二幅仕立で、238図よりなっている。冷泉為恭は、幕末期の公家召抱えの復古大和絵師。京狩野の絵師・狩野永泰の子。京狩野9代の狩野永岳は伯父にあたる。のち冷泉為恭に改める。社寺に所蔵される古画や古物の写生を重ね、また有職故実を学び、田中納言・浮田一薫とともに、幕末復興大和絵の名手といわれる。本図は嘉永年間(1848~54)に制作されたものといわれている。冷泉為恭は、幕末の尊王攘夷の風潮のなか、佐幕派との人物との交流もあったことから、尊王派から命を狙われ、元治元年(1864)5月5日に長洲士大森源太郎に暗殺された。享年42歳。
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