18世紀に編纂された壱岐国の地誌。平戸松浦家33代誠信(さねのぶ)は、壱岐国天手長男神社(あまたなかをのじんじゃ)の宮司であった吉野秀政(1713~88)に命じて、『壱岐国続風土記』の編纂を委託した。秀政は壱岐郡代の援助を得て全島の現状をつぶさに視察し、風土記の編纂にあたった。藩主も絵師を派遣するなど積極的に協力した。苦心の甲斐あり、延享元(1744)年に脱稿し、藩主誠信に奉呈した。藩主はその労をねぎらい、関係者を激賞したとされる。全117巻のうち、1~2巻は序・目録・提要、3~116巻は本編にあたり壱岐郡・石田郡2郡を詳述、117巻は土産考とする。本編は、壱岐国24ヶ村ごとに神社・仏閣・郷邑の3部に分けて記載し、浦の部は郷邑の部に入れる。郡・村・触・里の境界、山、海浜、川、原、辻、古城址、古墳、田畑等の形象、名称、いわれ、高さ、広さ、距離などを記し、また古老などの伝承する伝説等を実に詳細に集録している。
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