内野家住宅は、座敷、奥座敷を備える典型的な書院造りで、平戸の武家屋敷の流れをひきつつも、モダンさを感じさせる門の意匠や煉瓦など、大正から昭和に移行する時代に建てられた建築の特色をよく示し、近代和風建築の要素も見ることができる住宅である。
主屋は、木造平屋建で、浅瓦葺きの寄棟屋根を持ち、棟札に「大正15年11月20日上棟」とある。
西側には自然の地形を活かし、平戸つつじ、築山、泉水をバランスよく配した素晴らしい庭園、東側には、煉瓦塀で囲んだ箱庭風の築庭がある。この煉瓦塀は、主屋東側の築庭を囲むために、主屋と同時期につくられたとされる。
道路からは、大きな切石を中心に、両脇は丸みを残した自然石で変化をつけた石段でアプローチし、丸4つのモチーフがモダンさを表現している門柱で迎える。門柱の建築年代もその意匠から主屋と同時期頃とみることができる。塀と石段については、文化年間(1804~18年)制作の「平戸城家中之図」にすでに確認することができ、塀と石段の破綻の少ない意匠の状況や周辺の類例からみて、ともに少なくとも文化年間までは遡ると考えられる。
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