平戸旧城下町の武家屋敷は今や数少なくなり、大正期に建てられた大曲家住宅主屋も平戸の武家住宅の系譜を引いた書院造の近代住宅である。
主屋中央は木造2階建で、全体に吟味された良材を用い、座敷も床・棚・付書院を備える。座敷二室の南面・西面に縁を設け、庭に対して開け放つことができ、平戸の武家屋敷の特徴である平戸つつじや槇を植えた庭園との一体感が演出できるようになっている。
石段は直角に折れ曲がる踊り場2箇所をもつ鍵状で、総延長は約25mになる。踏段は中央に切石、左右に自然石を組み合わせて豊かな表情をつくり、石垣は自然石を表面に揃えて乱積みしたもので、その上に植栽された槇垣と相まって独特の景観を作り出している。
大曲家住宅石段及び石垣は、平戸の近世武家屋敷の表構えをよく伝えている。
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