大曲公家住宅は、大正5(1916)年、現所有者の曾祖父(平戸藩主松浦家の教育係で茶人)が手に入れ、明治時代以前に建てられた武家屋敷に茶室などを付け加えて、現在の状況に整えたものである。
自然石の乱積みで築かれた石垣と槇の生垣、そして鉤型に曲がった石段が連続し、重厚な印象を与える見事な外観を形成している。
槇の高垣に囲まれた主屋は、木造2階建てで、桟瓦葺きの切妻屋根を持つ。書院造りの座敷は、武家住宅の特徴を見せている。座敷の北側に茶室が張り出し、現在も茶室に続く踏み石が残り、石組みや手水鉢が配されている。平戸藩主の武家茶道である鎮信流の茶人らしく、個人住宅でありながら茶室が備えられているという特色がある。
また、主屋の西側には、平戸つつじを植えたみごとな築山があり、座敷と茶室から愛でることができるような演出となっている。
このように、書院造りの座敷に茶室、平戸つつじの庭園を備えた大曲公家住宅は、平戸藩における茶の伝統を受け継いだ住宅として貴重な存在である。
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