高麗時代の大型の銅造仏で、浦市星鹿にあった羽黒山金泉寺(はぐろさんきんせんじ)(明治5(1872)年廃寺)奥院の本尊であったと伝承されている。
仏像の表情は柔らかで体型の造形も整っている。頭頂の肉髻(にくけい)は締まった形で高さがあり、頭部の螺髪(らはつ)は、肉髻部13段、地髪(じはつ)部10段、髪際(はっさい)線で43粒を数え、やや先端が尖った高麗仏の特徴をみせている。胸元をU字形に開け、裙(くん)を胸部で結ぶ紐の様子にも外来仏の特質を見せている。
頭体膝前を一鋳で鋳造し、両手は別に鋳造して袖に差し込み、縁に穴を開けて鋲留めしている。頭部の中型(なかご)土は掻き出されないままに残されているが、背部の首後ろから背筋に沿っては、方形の型持ちを使用した痕の埋金が見られる。胸前にもあり両肩・膝前など、やや規則的に並べられた長方形の型持ちが鋳造に使用されたものとされる。
本像は、金銅仏としては大型に属する。表情や衣文、印相(いんぞう)の指の表し方などに、外来仏の特質を見ることができる。造形的芸術性においても、歴史的な地域性においても、貴重な銅造仏として価値あるものである。像高66.7 cm、髪際下52.6cm、肩幅29cm、
膝奥60cm。
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