地球儀・天球儀は1700年にオランダ・アムステルダムのファルク工房(製作者ヘラルト・ファルク、レオナルド・ファルク父子)にて製造された。アムステルダムは当時、世界における地図製作の中心で、ファルク工房で製造された地球儀や天球儀は、世界中に流通していた。それぞれの木製の台座及び子午環には、ともに「平戸楽歳堂(らくさいどう)蔵」の刻印がみられる。楽歳堂とは、江戸時代の平戸松浦家34代清(きよし)が、安永8(1779)年に平戸城内に設けた楽歳堂文庫のことで、松浦家関係書籍の他に西洋の絵画、器物、文字資料等が所蔵されていた。また地球儀の子午環最上部には製造番号を示す「7」が、天球儀には製造番号「8」が刻まれている。
地球儀には、当時の航海の際に方角を知るために必要とされた、「ポルトラーノ」という放射状の方位線が多数描かれている。また、アフリカ・中近東・東南アジア・西日本が詳細に描かれているのに対し、北日本やオーストラリア大陸周辺に不明な部分がある。天球儀には、北半球おうし座付近の「北のはえ」座等、現在の88星座が確定する以前の星座図が描かれている。
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