斑島は、五島列島北部の小値賀島の西方に隣接し、東西・南北ともに約1.5kmの属島で、昭和53(1978)年に本島と斑大橋によって結ばれた。島の南西部には成層した火山砕屑岩が分布するが、島の大部分は玄武岩溶岩で構成される。海岸に露出する玄武岩上の波食台には、波食により生じたいくつかの甌穴があるが、北東端の玉石鼻にある甌穴が、国指定の天然記念物となっている。玄武岩中の亀裂が交差する所が、直径80~90cの深い円筒状に刻まれ、深さは2.5mにも達する。穴の底には、直径約90cmの玄武岩の球状の円礫が座る。玉の表面は黒光りをし、地元の人から「玉石様」として信仰されている。満潮時に大しけでもあると、海に通ずる亀裂から侵入するはげしい海水の動きによって、玉石が甌穴の底を転動し、削磨作用を続けているという。約41万年前の噴火で流出した溶岩が連なる海岸の玄武岩ベンチの割目に形成された甌穴で、我が国最大といわれる。甌穴の標式的なものとして学術上の価値が高い。
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