吉村組捕鯨文書は、17世紀末頃に平戸の鯨組主・吉村氏が著した捕鯨の実態を記録した3冊の古文書であり、西海捕鯨では最古で唯一の現物資料である。
内容は慶安元(1648)年から寛文9(1669)年にかけて突組(つきぐみ)(銛を用いた捕鯨法)であった吉村組の操業記録で、漁期毎の出港先や鯨の捕獲を含めた日々の操業内容、組織、船や納屋などの装備・施設、人員の出自など鯨組の操業内容全般にわたっており、きわめて正確で具体的に記録されている。
江戸時代の捕鯨の最盛期は、突組から網組へと推移していく元禄から享保の頃であるが、吉村組捕鯨文書はそれ以前の突組の実態を知る上で貴重な史料である。
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