昭和7年(1932)年に設置された国際観光事業会では、低金利融資に基づき全国15カ所に洋風ホテルを建設することにしたが、雲仙観光ホテルもその一つであり、昭和10(1935)年10月に竣工した。
建物の構造は、地下1階・地上3階建で、地下と地上1階が鉄筋コンクリート造、2・3階を木造としている。
建物の外観は、スイス・シャレー式と呼ばれる山小屋風のデザインを基調とし、外壁は1階から2階中央部にかけては地元産の溶岩石張り、2階の外壁とバルコニーの手摺りは校倉(あぜくら)風に半丸太を張り、3階の中央付近と端部はハーフ・ティンバーの構成を見せる。
建物内部の意匠も、外壁に用いられた半丸太張りやハーフ・ティンバー風の造形が随所に繰り返されており、落ち着いた雰囲気と重厚で暖かみのある木質感が漂っている。
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