原生沼は雲仙温泉街の一隅、絹笠山の東麓にある面積約1.2haの小湿原である。湿原群落は大別すると、シカクイ群落・ハリミズゴケ群落・オオミズゴケ群落で、この順に乾燥化していて、一番乾いたところはウンゼンザサ群落となっている。
湿原全体としては、ヨシ・ヒメゴウソ・カサスゲ・ススキが優勢である。オオミズゴケ群落の中にはヒメミズゴケが混じるところがあり、乾燥のすすんだところには、ミヤマキリシマ・ウンゼンザサ・ウマスギゴケが生える。レンゲツツジやヤマドリゼンマイも生育する。ここは北方系のカキツバタの九州で数少ない野生地で、それはほとんどハリミズゴケ群落の中に限られる。
泥炭形成植物の発生する地域の代表的なものとして価値が高い。
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