江戸時代、島原藩主であった深溝(ふこうず)松平家の旧蔵品で、寛永年間(1624~43年)以前に作成されたものと考えられており、江戸幕府が諸国の大名から提出させた国絵図(くにえず)を基にして作成された日本総図の写である。日本全体を①九州・四国・中国、②近畿・中部・関東、③東北、に3分割して仕立てられている。北は陸奥国から南は大隅国種子島・屋久島まで描かれており、対馬国の西には「釜山海」や「朝鮮」と記され、朝鮮半島の一部も描かれている。城所や城跡・宿駅・港町・門前町等には□や○で示されているが、特に江戸城をはじめ駿府や京都・大坂・奈良等の城郭は他の城所と区別して□の中に城名が記されている。湖沼や河川等が極めて詳細に描かれているほか、山岳についても丁寧に山並みが描かれている。街道や航路は、朱色で示されていて、街道、航路ともに里程が書かれていること等がその主な特徴である。当時、これらの日本地図が大名の間で複写所持されていたことが考えられ、本資料もその一つとされている。
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