梅ヶ枝酒造の建築物群は、いずれも伝統的な和風を基調にしたもので、造形的には特に目立った特徴はないが、醸造家の常として各棟の規模が大きく、また、大材を用いた豪壮な造りとなっている。その全景は、当家に残る大正末期頃の写真にみられる雰囲気を現在によくとどめている。また、当家に保存されている棟木受には安政7年(1860)の銘があり、現在の建物はこの時期のものと思われる。
東西約600mと南北550mに及ぶ広大な敷地には、ほぼ中央に事務所兼住居として使用する主屋が建ち、その南西側には瓶詰所として使用されている逆L字型平面の建物、旧むろ、旧仕込蔵が隣接して延びている。主屋の北西部には、主屋と棟方向が少しずれた貯蔵蔵がある。主屋北側の渡り廊下で連結された住居は、改築部分はあるが創建時に近い遺構とみられる。住居の北側には隣接して精米所として使用している旧北蔵が建っている。
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