雲仙火山は島原半島の中央部の普賢岳を中心とするいくつもの山々の総称であり、噴火活動はおよそ50万年前に始まった。寛政4年(1792)の大噴火から約200年後の平成2年(1990)11月17日、雲仙火山の最高峰である普賢岳は再び噴火活動を開始する。水蒸気爆発から始まり、やがて溶岩ドームが出現する。地下のマグマ溜まりから次々と供給される粘性の高い溶岩は、斜面にせり出し、ついには先端が崩壊し火砕流を発生させた。ことに平成3年(1991)6月3日に発生した火砕流は、多くの犠牲者を出し、火砕流という用語を強く印象づけた。平成7年(1995)5月25日、足かけ5年にわたった噴火活動が終息し、この間に成長した溶岩ドームは平成新山と名付けられた。標高は、雲仙火山の最高峰であった普賢岳を上回る1,486mに達した。噴火を繰り返し、時には大きな被害を与えてきた普賢岳は、美しい姿や普賢岳を中心とした豊かな自然、さらには温泉や湧水などの恵みをもたらしてきた。生成が目撃された火山活動の証として、また我が国を代表する火山現象として、天然記念物に指定し永く保存を図ろうとするものである。
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