川原大池は長崎半島の千々石(ちぢわ)湾側の海岸にある。大池と海をへだてる自然堤防の上には樹林地があり,そこが指定地である。おもな樹種は,ホルトノキ,クスノキ,アラカシ,ヤマモガシ,ムクノキ,クヌギ,トベラ,クチナシ,ハマナツメ,ハマボウ,などである。水辺には,ヨシ,ヒトモトススキ,ガマ,アンペライ,テツホシダが生育する。植物分布からは,ハマナツメ(クロウメモドキ科)の生育がとくに貴重である。この落葉低木は,ナツメに似た葉をもつのでこの名がある。中国南部や台湾,日本では琉球,九州南部,西部,東部,四国や紀伊半島の沿海湿地に点状に分布する。川原大池は九州西部における分布北限地のひとつである。
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