長崎港は、元亀2年(1571)にポルトガル船が入港して以来、外国との貿易港として栄え、鎖国時代も我が国唯一の外国との窓口として開かれていた。開港後も貿易港として重要な位置を占め税関がおかれていた。現存する庁舎は、その一施設として、明治31年に改築竣工したもので、以後派出所として使用されてきた。
建物の外観的な特徴として、正面を海に向けて建つ煉瓦造平屋建の建物で、正面両端に三角破風をみせた端正な意匠になっている。内部は、検査場、倉庫、事務室等からなっており、建物の後方に便所があり渡り廊下でつながり、敷地周囲は煉瓦塀で囲まれている。
小規模であるが、平面構成上もよくまとまった建物で、附属の便所、敷地を囲む煉瓦塀など明治時代の税関施設の状況をよく伝えており、資料的価値が高く、海岸通りの景観形成にも重要な役割をになっている。
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