諫早市城山暖地性樹叢は、本明川の右岸の周囲約1km、標高約50mの丘陵全体を覆っている植物群である。大部分にミミズバイ―スダジイ群集がよく発達し、川沿いにケヤキ・ムクノキ群落が発達している。最も特徴的なのは、貴重な植物であるヒゼンマユミが九州のなかで最も多く、最も高い密度で生育しており、その巨木も多いことである。この丘陵は中世に西郷尚(ひさ)善(よし)によって高城(別名亀城・諫早城)が築かれ、指定地全体が周知の埋蔵文化財包蔵地にも指定されている。築城の際に丘陵の樹木はすべて伐採されたと『西郷記』に記されており、その後に自然林が回復したと思われる。現在は諫早公園として整備されている。クスノキの巨木も見られるほか、他の地域では大木として知られていない樹種が大木に成長していることにおいても、大変貴重な暖地性樹叢である。
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