本屏風は、60数点現存するいわゆる南蛮屏風と称されるもののひとつである。六曲一双。南蛮屏風はその図様により二つのタイプに分類される。ひとつは日本の港町-そこには洋式帆船が入港し、南蛮寺が建っている―での南蛮人(ポルトガル・スペイン人)商人や宣教師たちの様子を左右一双に描いたもの。他は上のモティーフを一隻に描き、他の一隻に外国の港や町の情景が描かれたものである。本屏風は前者の部類に属する。南蛮屏風の制作された時期は1590年代頃から1680年代頃までと考えられている。本屏風は慶長初期の制作と推定される。作者は不詳であるが、恐らく狩野派の系統をひく画家の一人であろう。