天正18年(1590)に遣欧少年使節団が帰国したとき持ち帰った印刷機械は、加津佐のコレジヨに据えられ、翌年「サントスの御作業のうち抜書」というローマ字で日本文の聖人伝が印刷された。その後慶長19年(1614)のキリシタン弾圧にいたるまでこの機械は、天草から長崎へとコレジヨと共に移動しながら、宗教書や語学書・文学書・辞書などを印刷した。刊本50種のうち、現在伝存するものは約30種。長崎には「珠冠のまぬある」が1冊ある。この本は慶長12年(1607)長崎のコレジヨで印刷されたもので、心霊修業のために集められた諸々の観念(黙想)の手引といった宗教書である。3部に分かれ、本文404頁、大きさ縦9.5㎝、横14.7㎝である。
大きな地図で見る