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意見書・決議

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長崎県端島の歴史認識に関する意見書

 端島炭坑は平成27年第39回世界遺産委員会において、「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として世界文化遺産に登録をされた。
 「産業革命遺産」は登録時、世界遺産委員会から8項目の勧告を受けている。その項目の一つに「各サイトの歴史全体についても理解できる展示戦略にすること」との内容があり、脚注には「日本が発したステートメントに留意する」と記されている。
 これらの勧告について推薦国である日本は、ユネスコから、本年12月1日までにその進捗状況の報告を提出するよう要請されており、現在、政府において対応中である。
 第39回世界遺産委員会において日本代表団は、従来の政府の立場を踏まえたものとして、「日本は1940年代にいくつかのサイトにおいて、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者などがいたこと、また、第2次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していた事について理解できるような措置を講じる所存である。日本は、インフォメーションセンターの設置など、犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む所存である。」と述べられている。
 また、注釈として以下の点が外務省のホームページには、記載されている。朝鮮半島出身者については当時、朝鮮半島に適用された国民徴用令に基づき徴用が行われ、その政策の性質上、対象者の意思に反し徴用されたこともあったという意味で用いている。厳しい環境の下との表現は戦争という異常な状況下、耐え難い苦しみと悲しみを与えたとの当時の労働者側の状況を表現している。
 犠牲者とは出身地のいかんにかかわらず、炭坑や工場などの産業施設で労務に従事、貢献する中で、事故・災害等に遇われた方々や亡くなられた方々を念頭においている。
 これらとあわせて、日本側は係る発言について「違法な強制労働があったと認めるものではない」ことを繰り返し述べており、その旨は韓国側にも明確に伝達していると表明している。
 しかしながら現在、これらの認識とは異なる内容が世界に発信され、端島にゆかりを持つ人々の記憶と心に影を落としている。
 これらの事柄を受けて、元島民でつくる「真実の歴史を追及する端島島民の会」は島民の証言をもとに真実を述べたうえで、日韓両国の友好関係を築き、ともに協力して正しい記録を後世に残して行くために声明文を出した。
 よって、国におかれては、本年12月1日に向けた取り組みの中において上記認識を堅持され、端島炭坑の価値や歴史が歪められることが無いようまとめられ、わが国の立場を明確に情報発信されることを望む。

 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長     伊達 忠一 様
内閣総理大臣    安倍 晋三 様
外務大臣      河野 太郎 様
文部科学大臣    林  芳正 様
内閣官房長官    菅  義偉 様



九州新幹線西九州ルートの整備促進に関する意見書

 九州新幹線西九州ルートは、西九州地域の産業振興や交流人口の拡大、離島地域の活性化等につながる重要な交通基盤であり、関西圏・中国圏との連携による社会経済の発展に寄与するものである。また、沿線地域では、官民が一体となって新幹線の効果を最大限に発揮できるよう、ソフト・ハード両面から新幹線を活用した魅力あるまちづくりに懸命に取り組んでいる。
 この西九州ルートは、平成23年10月に、国の軌間可変技術評価委員会において「フリーゲージトレイン(FGT)の実用化に向けた基本的な走行性能に関する技術は確立している」との評価がなされ、山陽新幹線と相互直通し、新大阪まで乗り入れるという前提のもと、平成24年6月に認可・着工がなされ、現在、順調に工事が進められている。
 西九州ルートへの導入が前提となっているFGTについては、平成26年11月、耐久走行試験中に車軸の摩耗等が見つかり試験が中断され、平成27年12月に国からは、平成34年度中に量産車を導入することは困難な見込みであるとの認識が示された。これを受けて、平成28年3月、関係六者により「九州新幹線(西九州ルート)の開業のあり方に係る合意」がなされ、武雄温泉駅での対面乗換方式(リレー方式)により平成34年度に暫定開業することとなった。
 これまで国において、FGTの不具合について様々な対策と検証が行われてきたが、本年7月の軌間可変技術評価委員会においては、車軸の摩耗について新たな対策を立案しその効果を確認することが必要であるなどの評価がなされ、耐久走行試験に移行することは出来ない状況に陥っている。
 さらに営業主体であるJR九州が、安全性、経済性の面から、FGTによる西九州ルートの運営は困難であるとの見解を示されたことは、重大な事態であると受け止めている。
 このように、西九州ルートの整備の見通しが立たないままでは、FGTの実現性への信頼が揺らぎ、一日も早い本格開業を期待している県民、関係自治体等から、民間の経済活動・投資意欲の減退等、地域のまちづくりへの多大な影響などを懸念する声が広がっている。
 よって、国におかれては、このような先行きが見えない現状を打開するため、西九州ルートの姿を一刻も早く明確にするよう、下記の事項について強く求める。



  1. 暫定的な開業方式である対面乗換方式が固定化しないようにすること、及び県民が真に期待する西九州ルートから山陽新幹線への直通運行を実現すること。
  2. FGT以外の選択肢による整備について検討を進めることとし、現在整備中の武雄温泉~長崎間のインフラを十分に活用できる最善の選択肢として、フル規格により西九州ルートを整備すること。
 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長     伊達 忠一 様
内閣総理大臣    安倍 晋三 様
総務大臣      野田 聖子 様
財務大臣      麻生 太郎 様
国土交通大臣    石井 啓一 様
内閣官房長官    菅  義偉 様



参議院議員選挙制度改革に関する意見書

 第24回参議院議員通常選挙では、一票の較差を是正するために、憲政史上初めて都道府県を単位とする選挙区を改め、「鳥取県及び島根県選挙区」、「徳島県及び高知県選挙区」を一つの選挙区とする合区による選挙が施行された。
 合区が実施された県では、それぞれの県から代表者を選出することが出来ず、有権者の間に不公平感が高まり、該当する選挙区の多くで投票率が最低を記録するなど代表民主主義の根幹にかかわる事象が見られる。
 都道府県は、130年近い歴史の中で、政治的、経済的、社会的、文化的に一体感が醸成されてきた。広域的な地方自治行政の単位として都道府県以外に、説得力のある線引きを見出すことができない。都道府県選出参議院議員がいなければ、都道府県全体の意見を国政に反映する政治的プロセスが機能しない。国の喫緊の課題である地方創生を推進する上でも由々しき問題である。
 仮に、大都市部への人口集中の流れが止まない中で、今後も合区により一票の較差の是正を図っていけば、合区対象となる県が次々と広がる懸念があり、地方の声が国政に反映できなくなる。
 合区による選挙は、違憲状態を解消するために、あくまで緊急避難措置である。合区を早急に解消し、各都道府県から少なくとも一人の代表を参議院に送り出せるよう制度を改めなければならない。
 よって、国におかれては、改正公職選挙法の附則に参議院議員選挙の抜本的見直しを行うことが規定されていることを踏まえ、早急に合区を解消し、都道府県を単位とする代表が、国政に参加することが可能となる選挙制度を構築するよう、強く要望する。

 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
総務大臣   野田 聖子 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



私学助成の充実強化等を求める意見書

 私立学校は、建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し、公教育の発展に大きな役割を果たしている。
 今後、公教育の一翼を担う私立学校が、国の進めるグローバル人材の育成等に向けた教育改革に的確に対応していくには多大な予算が必要となるが、学費負担における公私間格差や少子化による生徒数の大幅な減少等もあって、私立学校の経営は厳しい状況を迎えており、私学助成等の拡充強化が強く求められている。
 また、学校施設の耐震化の促進と併せて、学校教育におけるICT環境の整備は、公教育を担う学校に共通する教育基盤の整備促進を図る観点から、国の責務として私立学校へのさらなる支援が必要である。
 加えて、このたび私立中学校等の低所得世帯の生徒等への授業料支援制度が創設されたが、高等学校も含めた公私間の学費負担格差は依然として継続しており、わが国の将来を担う子どもたちの学校選択の自由、教育機会の保障の観点からも、私立高等学校及び中学校の就学支援金制度の拡充強化を通じた公私間の学費負担格差の是正は重要な課題である。
 よって、国におかれては、私立学校教育の重要性を認識し、教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」を名実共に確立するため、現行の私学助成にかかる国庫補助制度を堅持し一層の充実を図るとともに、私立学校施設耐震化への補助の拡充など私立学校の教育環境の整備充実や私立学校生徒への修学支援制度の拡充強化が図られるよう強く要望する。

 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
総務大臣   野田 聖子 様
財務大臣   麻生 太郎 様
文部科学大臣 林  芳正 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



小中学校におけるプログラミング必修化に対する支援を求める意見書

 インターネットの単なる普及に止まらず、インターネットを活用したIoTの活用分野の拡大、自動車の自動運転をも可能とするAI(人工知能)の開発など、近年におけるIT技術の発展は著しく、「第四次産業革命」とも呼ばれる大きな転換期を迎えている。新たなニーズに対応し得る人材の確保は世界的にも共通のものとなっており、我が国においてもグローバルに活躍し得る人材を育成する上で、ITスキルの向上は不可欠なものであるが、2016年に経済産業省が発表した資料によると、2015年時点でIT人材不足数は約17万1000人、2030年には最大で約79万人が不足すると試算されている。
 2020年にプログラミングが小学校において必修化されることに伴い、各都道府県教育委員会において、人材育成、指導内容等について、独自に試行錯誤を繰り返しているが、「どの分野に力点を置き、いかなる人材を養成すべきか」との課題は残されたままである。地域間の格差を是正するためにも、中核となる指導内容については全国共通のものとなることが求められる。
 一般家庭におけるIT機器の普及は著しく、児童生徒たちは幼少期より一定程度IT機器に接することが珍しくない中で、教員に求められる技能は自ずと高いものとならざるを得ない。このことから、近年、特に顕著となっている教職員の多忙化に拍車をかけることとなりかねず、外部人材の活用など、人的あるいは財政的支援が必要となる。
 従来、小中学校におけるIT機器の整備は、主に基礎自治体に委ねられてきたものの、自治体の財政力により整備状況に大きな差が生じているのが実状である。プログラミング教育において、自治体間の格差を是正するためにも、指導上必要となる機器の整備などに対する財政措置が求められる。
 また、小学校でのプログラミング授業を先行実施している一部基礎自治体(千葉県柏市など)において先行して実施されているものとの整合性など、既にいくつかの課題が散見される。
 よって、国におかれては、下記の3点について要望する。

 


  1. 早期にプログラミングの指導の概要について明らかにすること。
  2. 円滑な指導を行うため、自治体間の格差を是正するために必要な財政措置を行うこと。
  3. 民間人材の積極的な活用や、小規模な自治体などにおいて適正な人員配置が困難な場合など、広域での対応を認めるなど、弾力的な人材配置を認めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
総務大臣   野田 聖子 様
財務大臣   麻生 太郎 様
文部科学大臣 林  芳正 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



受動喫煙防止対策を進めるための健康増進法の改正を求める意見書

 受動喫煙を防止するには、何よりもたばこの煙が深刻な健康被害を招くことを国民に啓発していくことが重要である。
 厚生労働省の喫煙の健康影響に関する検討会が取りまとめた報告書(たばこ白書)では、喫煙は、肺がん、喉頭がん、胃がんなどに加え、循環器疾患や呼吸器疾患などとも因果関係があり、受動喫煙は、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中と因果関係があることが示されている。また、受動喫煙による死亡者数を年間約1万5000人と推計している。
 たばこの煙による健康被害についてこうした公表がある一方で、世界保健機関(WHO)は、日本の受動喫煙対策を最低ランクに位置付けている。この現状を脱し、 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた我が国の受動喫煙防止対策の取組を国際社会に発信する必要がある。
 よって、国におかれては、国民の健康を最優先に考え、受動喫煙防止対策の取組を進めるための罰則付き規制を図る健康増進法の早急な改正を強く要望するとともに、下記の措置を強く求める。

 


  1. 対策を講じるに当たっては、準備と実施までの周知期間を設けること。
  2. 屋内の職場・公共の場を全面禁煙とするよう求める「WHOたばこ規制枠組条約第8条の実施のためのガイドライン」を十分考慮すること。
  3. 屋内における規制においては、喫煙専用室の設置が困難な小規模飲食店に配慮すること。また、未成年者や従業員の受動喫煙対策を講じること。
  4. 各自治体の路上喫煙規制条例等との調整を視野に入れて規制を検討すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



介護事業等に伴う送迎中の交通事故防止対策の推進を求める意見書

 急速に高齢化が進むなか、近年、介護事業者等による高齢者送迎中の交通事故が多発しており、死亡事故に至っているものも散見される。
 厚生労働省によるとデイサービスを利用する高齢者は年々増加し、昨年度はおよそ220万人に上っている。
 デイサービスを行う施設の事業所の多くは、自力で通うことが難しい利用者のために、運輸局の許可を必要としない自家用輸送として、車で送迎を行っているが、送迎中の事故が各地で起こっている。
 介護施設事業所による車の送迎は、普通免許を持っていれば職員でもできるが、厚生労働省は、安全確保の観点から、運転を専門とする事業者への外部委託等を促進することとしている。
 しかし、現実には、介護の現場では経営状況が厳しいため、施設の職員が日常業務と兼務して運転を行うケースが多く、利用者の送迎が職員の負担となっている現況があり、施設の職員が運転を兼務することが常態化すれば事故が起き続けるおそれがある。
 交通事故の専門家によると、高齢者は若い人と比べて骨や内臓が弱い人が多く、事故で亡くなりやすい傾向にあるため、より慎重な運転が必要だとされている。
 よって、今後も介護サービスの需要がさらに高まることが予想されることから、国におかれては、介護と送迎を分けて行うことができるよう、下記の財政措置を含めた対策を強く要望する。

 


  1. 介護施設の運営において、介護と送迎を分けて行えるような財政措置を行うこと。
  2. 交通事故防止対策のための指針を作成し、各県に関係機関による連絡会議の設置や、行政による安全講習の実施等を規定すること。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長   伊達 忠一 様
内閣総理大臣  安倍 晋三 様
総務大臣    野田 聖子 様
財務大臣    麻生 太郎 様
厚生労働大臣  加藤 勝信 様
内閣官房長官  菅  義偉 様
国家公安委員長 小此木 八郎 様



ウイルス性肝炎患者に対する医療費助成の拡充を求める意見書

 わが国においてウイルス性肝炎、特にB型・C型肝炎の患者が合計350万人以上とされるほど蔓延しているのは、国の責めに帰すべき事由によるものであるということは、肝炎対策基本法や「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」でも確認されているところであり、国の法的責任は明確になっている。
 ウイルス性肝炎患者に対する医療費助成は、肝炎治療特別促進事業に係る対象医療として、B型・C型肝炎ウイルスのインターフェロン治療及びB型肝炎ウイルスの核酸アナログ製剤治療に加え、2014年9月からC型肝炎ウイルスのインターフェロンフリー治療が認められ、また、2015年6月からは肝硬変・肝がん患者も含めた精密検査・定期検査費用の助成が重症化予防事業として開始されるなど、順次拡大されてきている。
 しかしながら、これらの医療によってもウイルス性肝炎が完治しないため、肝硬変・肝がんに進行しないよう長期間、治療を継続されている肝炎患者が相当数にのぼっており、特に肝硬変・肝がんに進行した患者は、高額の医療費を負担せざるを得ないだけでなく、就労できない方も多く、生活に困難を来たしている。
 「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」の制定時(2011年12月)には、「とりわけ肝硬変及び肝がんの患者に対する医療費助成を含む支援の在り方について検討を進めること」との付帯決議がなされている。平成30年度予算に肝がん患者の入院医療への助成が概算要求されているが、ウイルス性肝硬変・肝がん患者が安心して治療に専念できるよう、付帯決議の趣旨を踏まえ、国におかれては、下記事項の速やかな実現を強く要望する。

 


  1. ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費助成を速やかに拡充すこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
総務大臣   野田 聖子 様
財務大臣   麻生 太郎 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



待機児童の解消及び保育人材の確保を求める意見書

 わが国の経済社会の将来を見通すと、「経済成長への制約」「社会保障の危機」「超過疎化する地域」など多くの深刻な問題が浮かび上がってくるが、こうした危機をもたらす根本原因は「少子化」の進行に他ならない。
 これまで政府の対少子化政策の下、地方自治体は、育児支援や待機児童の解消に取り組んできたが、出生率回復の遅れなど十分な成果が表れていない。
 先に公表された、長崎県における本年4月1日現在の待機児童数は190人で前年比120人の増と、全国的にも増加傾向にあり、待機児童の解消は「待ったなし」の対応が迫られている。
 去る6月、政府は「子育て安心プラン」を策定し、今後も増え続ける保育需要に応じた待機児童の解消に取り組むとしているが、すべての子ども達が安心して育つことのできる社会の実現のためには、当該プランの着実な実施が求められる。
 また、待機児童の解消には保育人材不足の解消が必須課題であり、今年度は月額6千円程度の処遇改善が行われているが、依然として一般企業の給与と比較して低い水準であり、保育士等の更なる処遇改善が必要である。
 よって、国におかれては、待機児童の解消並びに保育人材の確保のため、下記の項目の早急な実施を要望する。

 


  1. 今後とも保育所等や放課後児童クラブの需要増加が見込まれることから、待機児童の解消に必要な定員増や施設増設に伴う、子ども・子育て支援予算の増額など所要の財源確保に努めること。
  2. 保育士・幼稚園教諭、放課後児童クラブ支援員等の安定的な確保のため、給与面での更なる処遇改善に必要な地方自治体への財源措置を講ずること。
  3. 子どもの命を預かり、人格形成に重要な時期に適切な対応ができる質の高い保育人材を確保するために、保育現場の実態に即した職員の配置基準の見直しなど職場環境面での改善を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
総務大臣   野田 聖子 様
財務大臣   麻生 太郎 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



道路整備事業に必要な予算確保に関する意見書

 国土の最西端に位置し、県土の約7割が離島・半島で構成され、地形的にも山地や丘陵地が全体の約8割を占めるという地理的・地形的な特性を持つ本県は、今まさに人口減少や県民所得の低迷、地域活力の低下といった構造的な課題に直面している。
 こうした中、農林水産業や観光などの地域産業の活性化を図っていくためには、物流の効率化や交流人口の拡大を図る道路整備が極めて重要であるが、本県の幹線道路網の整備はまだ道半ばの状況である。また、道路改良率は、本土でも全国平均を下回っており、特に離島においては著しく遅れている状況である。さらに、通学路の整備は約5割に止まっており、安全安心の観点からも早急な整備が必要であることに加え、高度経済成長期に整備した構造物の老朽化対策も喫緊の課題となっている。
 よって、国におかれては、本県におけるこれらの状況を十分考慮して頂き、計画的かつ着実な道路整備の推進、並びに道路インフラの老朽化対策のために必要な当初予算を十分確保するとともに、補正予算についても積極的に実施するよう強く要望する。
 また、現在の道路事業においては、「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(以下「道路財特法」という)の規定により、補助率等の嵩上げがなされているが、この特別措置は、平成29年度末までの時限措置となっている。しかしながら、依然として都市部と地方部の地域間格差がある中で、この特別措置が廃止されると、地方の財政は圧迫され事業費が大幅に減少するため、道路整備が遅れ地域間格差がさらに拡大することとなる。
 よって、国におかれては、道路整備事業に必要な予算確保にあわせて、道路財特法の規定による補助率等の嵩上げを平成30年度以降も継続し、地方創生に大きく寄与する高規格幹線道路の新設事業や安全安心な暮らしにつながる修繕事業などにも特別措置を拡充するよう強く要望する。

 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
財務大臣   麻生 太郎 様
国土交通大臣 石井 啓一 様



食品衛生管理の国際標準化を求める意見書

 食品の衛生管理は、先進国を中心にHACCPが義務化されているが、我が国においては、HACCPの導入が遅れている。
 食品流通の国際化を目指し、東京オリンピック・パラリンピック等を見据えた我が国の食品衛生管理の水準を国内外に示す必要がある。そのため、厚生労働省では、国内の食品の安全性のさらなる向上のためにHACCPによる衛生管理の制度化等の食品衛生規制の見直しを進めている。
 農林水産省の調査によると、食品製造業におけるHACCPの導入状況は、売上げが100億円以上の大手企業だけでみると8割以上である一方、小規模事業所を含めた食品製造業全体では3割以下にとどまっている。
 また、食品衛生法の営業許可業種は34業種であるが、これら以外に都道府県等の条例で許可業種となっているものもある。
 食品用器具及び容器包装についても、欧米等で使用が禁止されている物質であっても、個別の規格基準を定めない限りただちに規制できないなどの課題がある。
 さらには、厚生労働大臣又は都道府県知事からの回収命令や廃棄命令によらず事業者が自主的に食品の回収等を行った場合、食品衛生法にはその報告を義務付ける規定がない。
 よって、国におかれては、食品流通の多様化や国際化等を踏まえ、食品衛生管理の制度の見直しを進め食品の安全の確保を図られるよう、以下の措置を強く要望する。

 


  1. 消費者を第一に考え、食品の製造・加工、調理、販売等のフードチェーン全体での取組を進め、衛生管理を「見える化」すること。
  2. HACCPによる衛生管理の制度化にあたっては、食品ごとの特性や事業者の状況等を踏まえ、小規模事業者等に十分配慮した実現可能な方法で十分な準備期間を設け取組を進めること。
  3. すべての食品事業者がHACCPによる衛生管理に取り組むことを踏まえ、営業許可制度の見直しも合わせて進めること。その際には施設基準などを定める都道府県等の条例に配慮すること。
  4. 食品用器具・容器包装の規制にポジティブリスト制度の導入を検討するなど、欧米等との整合性を図ること。
  5. 食品事業者が製造した製品や輸入した製品を自主回収する場合には、その情報を把握する仕組みを検討すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様



軽油引取税の課税免除の継続を求める意見書

 道路を使用しない機械等の燃料として使用する軽油に係る軽油引取税の課税免除措置については、平成21年度の地方税法改正により、軽油引取税が道路特定財源としての目的税から、普通税に変更された際に、平成24年3月31日までの延長措置が認められ、その後も、各界からの要望もあり、3年間の延長が2度実施され平成30年3月31日まで延長措置が認められたものである。
 この課税免除措置については、本県の農林水産業における作業用機械や漁船、採石場の重機、公共交通を支える鉄道や船舶等にも活用されるなど、特に離島を多く抱える本県にとって、幅広い産業の経営安定、収益向上に貢献したところである。
 燃料や資材価格の高騰が懸念される中、厳しい経営環境におかれている地方の生産者・事業者においては、軽油引取税の課税免除措置の継続は不可欠なものとなっており、免除措置が廃止されれば、農林水産業や採石業等において大きな負担増を強いられるなど、地域経済にも深刻な影響を及ぼすことが懸念される。
 よって、国におかれては、今年度末までとなっている下記特例措置について継続されるよう強く要望する。

 


  1. 軽油引取税の課税免除措置を継続または恒久化すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
財務大臣   麻生 太郎 様
総務大臣   野田 聖子 様
農林水産大臣 齋藤  健 様
経済産業大臣 世耕 弘成 様
国土交通大臣 石井 啓一 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限延長に関する意見書

 駐留軍離職者対策に大きな役割を果たす「駐留軍関係離職者等臨時措置法」は、平成30年5月16日付で法期限を迎えることとなる。
 改めて申し上げるまでもなく、駐留軍労働者は他国における軍事情勢の変化による極東米軍の動向・政治・政策の変更と併せ、基地の整理・統合等によって直接影響を受ける立場におかれている。
 在日米軍の国内再編に関連して、在沖縄米海兵司令部を中心とする一部部隊のグァム移駐、厚木基地艦載機部隊の岩国基地への移転を柱とする大規模な基地再編が進められ、対象となる地域では所属する部隊が無くなることも懸念される等、駐留軍関係雇用を取り巻く最近の情勢は厳しさを増していることからも「臨時措置法」の法期限の延長措置は絶対に必要であると考える。
 日本が位置する極東アジアでは、核武装の強化を図る北朝鮮により、度重なる大陸間弾道弾の発射実験が強行されており、過去に例を見ない緊張感が高まっていることから、日・米・韓の3国政府はもとより、在韓・在日は厳しい状況に直面しています。情勢の如何によっては、在日米軍・在韓米軍と国を隔てた米軍基地の再編の可能性も否定出来ない状況を考えた場合、在日米軍へ波及する影響は必至であることから、駐留軍労働者の抱く大きな不安と危惧を払拭することはできない。
 国内的には、都市部と地方の格差が一段と拡大しており、基地を抱える地方でも景気回復は一向に見られない。特に、中高年が多く在籍する基地従業員にとって、離職後の再就職環境は極めて厳しいものがある。また、基地を抱える地方の経済に与えるダメージも深刻であり、離職者対策を迫られる自治体にとっても切実な問題である。
 よって、国におかれては、「駐留軍関係離職者等臨時措置法」の有効期限の延長が図られるよう強く要望する。

 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
防衛大臣   小野寺五典 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



森林環境税(仮称)の早期創設を求める意見書

 我が国の森林は国土の7割を占め、国土保全、水源のかん養、地球温暖化防止等多面的な機能を有しており、国民全体に様々な恩恵をもたらしている。
 本県においては、森林の有する多面的かつ公益的な機能の重要性を踏まえ、かけがえのない森林を守り育て次世代に引き継いでいくため、平成19年から「ながさき森林環境税」を導入し、森林の恵みを享受している県民全体で森林を支えていく取組を進めているところである。
 現在、国においては、市町村主体の森林整備を進める新たな財源として「森林環境税(仮称)」の創設に向けて検討が進められているところである。森林整備の推進は、国土保全などの森林の公益的機能の発揮のみならず、山村地域を中心とする雇用・所得の拡大による地方創生にも大きく貢献するものである。
 よって、国におかれては、下記の事項を実施されるよう強く要望する。

 


  1. 森林の持つ多面的機能の恩恵を広く国民全体が享受していることに鑑み、地方が継続的に森林整備・保全に取り組めるよう、安定財源の確保に向けて、森林環境税(仮称)を早期に創設すること。
  2. 森林環境税(仮称)の創設に当たっては、国、都道府県及び市町村の役割を明確にするとともに、本県をはじめ地方自治体が独自に実施している超過課税との関係を明確化すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 

  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

参議院議長  伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
財務大臣   麻生 太郎 様
農林水産大臣 齋藤  健 様
環境大臣   中川 雅治 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



北朝鮮のミサイル発射及び核実験に対する
制裁強化及び厳正な対応を求める意見書

 平成29年8月29日及び9月15日、北朝鮮は、北海道上空を通過し、北海道東方の太平洋上に落下したとみられる弾道ミサイルを相次いで発射した。
 事前の予告もなく、航空機、船舶等の安全の確保もされないまま発射されたことは、わが国の国土・国民に対するこれまでにない深刻かつ重大な脅威を与えるものである。
 また、9月3日、北朝鮮が国営の朝鮮中央テレビを通じて、核実験を実施したとの発表を行った。
 北朝鮮は過去5回にも及ぶ核実験を行っており、世界各国から強い中止要請や制裁強化を受けたにもかかわらず、今回再び6回目の核実験を実施したことに対しては、誠に遺憾であり、先に表明された知事並びに議長の抗議声明とともに、長崎県議会としても、強い憤りを禁じ得ない。
 被爆県である本県は、数多くの被爆者とともに、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を目指しており、本県議会においても、これまで幾度となく、核実験に反対する決議を行ってきた。この度のミサイル発射及び核実験は、これまでの国連安保理決議に明確に違反した、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であり、断じて許すことのできない暴挙であるとともに、人類の歴史上、極めて愚かな行為である。
 よって、本県議会は、北朝鮮によるミサイル発射及び核実験に対して厳重に抗議するとともに、政府においては、国際社会と緊密に連携した経済制裁・外交努力を含め、このような暴挙が絶対に繰り返されることがないよう要請する。

 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 



  平成29年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
外務大臣   河野 太郎 様
防衛大臣   小野寺五典 様
内閣官房長官 菅  義偉 様



 

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