ツクシシャクナゲは、九州を主産地とするツツジ科の常緑小高木である。葉は長さ15㎝ほどの長円形の厚い革質で、裏面に茶色の綿毛が密生するため、葉の裏面全体が茶色に見える。がく・花弁は7、おしべは14本あり、他のシャクナゲ類より多いのが特徴である。4月末頃に咲く花は淡紅色で、日本産シャクナゲの中でも一番美しく、数千種ある同種の中でも世界に誇る名花である。江戸時代には、オランダ商館の医師であるシーボルトが、日本特産の名花として『日本植物誌』に原色図を掲載して世界に紹介している。指定地は多良岳県立公園の中心にあり、金泉寺から1㎞ほど南に下った地点で小松尾公園という所である。ここは急傾斜地で、アカマツ・ツガなどの高木の下にカシ類、カエデ類、シダ類に混じってツクシシャクナゲが群生している。江戸時代の修験道に関わる植生もあると言われている。ツクシシャクナゲの群生地では犬ヶ岳(福岡・大分の県境)と多良岳の2ヵ所が国の指定を受けている。
大きな地図で見る