元平橋
面無橋
本件は、南島原市有馬川流域に近世から近代にかけて建設された5つの石橋群である。このうち、荒田(あれた)下橋(しもばし)、田(た)中橋(なかばし)、元平(もとびら)橋(ばし)、坂下(さかした)橋(ばし)の4橋は、明治中期から大正時代にかけて建設されており、石材は硬く加工しにくい玄武岩で構成されているため、輪(わ)石(いし)も荒削りであり、壁(かべ)石(いし)も転(てん)石(せき)を利用した乱積(らんづみ)で積まれており、現存する長崎県内の他の地方のものとは異なる形態的な特徴を有する。
一方、これらにさかのぼる江戸後期に建設されたと推定される面(おも)無橋(なしばし)は、安山岩の自然石で積まれた古い技術的特徴を示し、この地方の石橋の原点と考えられる。
このように、これらの石橋群の形態は、地域の特性を残した、地方の近代化を象徴する土木構造物でもあり、本県を代表する石橋群として高く評価できる。