しまばら湧水館の敷地は、新町二丁目の「鯉の泳ぐまち」通りの西側にあり、北側にも道路が通る角地にある。敷地内には中央北寄りに木造平屋建、入母屋造、桟瓦葺きの主屋が１棟建ち、主屋の東側から南側に池をもつ庭園がある。
　平面は中廊下式で、庭園に面する南側に接客座敷２室を置き、広縁を設ける。北側に家族向けの座敷や裏玄関を配し、奥に台所、土間、便所等を設ける。玄関脇の座敷には西面に床の間、書院を造り西側にあるもう一つの座敷には西面に床の間、仏壇、押入を造る。
　玄関脇の座敷は、一段と格式を整えた書院造りの座敷となっている。この配置は同じ通りの伊東家住宅と同様である。
　建築年代は昭和10年で、現在も良好な状態で保たれており、伊東家住宅より新しい建築であるが、使っている木材は極めて良質であり、庭園との調和が図られた上質な住宅として貴重な存在である。