国指定特別史跡である原の辻遺跡の出土品は極めて多彩で、大陸からもたらされた楽浪・三韓系の土器、銅鏡残欠や権など外来系の遺物が目立つ。これらは、朝鮮半島と九州本土を結ぶ当時の交易及び対外交流の拠点的な集落の出土品という性格を如実に示すものであり、その学術的価値は高い。
原の辻遺跡出土品の内訳としては、土器・土製品が711点、木器・木製品が114点、石器・石製品が430点、ガラス製品が53点、金属製品が316点、骨角製品が46点である。
特筆すべき出土品としては、朝鮮系無文土器、瓦質土器、陶質土器など、長期間にわたり朝鮮や中国からの交易によりもたらされた多様な外来系土器がある。また、銅鏡や銅剣は、王都として威信を示す人物の存在を窺わせることができ、多数出土する銅鏃や短甲、楯は戦いに備えたことを示す資料といえる。一方、貨泉などの銅銭は南北市糴という交易を裏付ける資料であり、ココヤシ製の椰子笛、人面石など他の遺跡では見られない特徴のある遺物もみられる。石鎌や石錘、骨角製の銛、鯨骨製のあわびおこしなどは、壱岐島での古くからの生業をあらわす資料として注目される。
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