小粒の螺(ら)髪(ほつ)が繊細にあらわされている肉髻部や地髪はほどよく盛りあがり、眉には弧を描いてタガネが入れられている。うねりのある切長の眼や、はっきりと稜をつくった唇の表情など、端正な面貌である。両肩を通した衣は、肌に沿う襞(ひだ)がみごとに表現されていて、体部のモデリングに緊張感をあたえている。面貌や衣(い)褶(しゅう)の特色から、朝鮮半島統一新羅時代の仏像であることがわかり、彼地にも稀な8世紀の秀作で、像高38.2㎝の丈量は韓国小金銅仏中では大きい。光背(こうはい)と台座は失われているが、本体のなめらかな肌あいはろう型による鋳造であり、背中には鋳造時の中型と外型との支えになった部分が穴となっている。『対州神社誌』(貞享3年)の木坂村八幡宮の条には、御神体5躰のうち2躰が金像であるといい、当像がそのうちの1躰にあたることになろう。
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