ハマジンチョウは、インドシナ半島から中国南部・台湾を経て沖縄県・鹿児島県、さらに長崎県にまで北上分布する南方系の植物である。玉之浦湾のほか、中通島(なかどおりじま)と若松島の間の若松瀬戸にも群生地が多い。分布北限地は宇久島と北松・九十九島の中の瀬尻島である。その生態は、波静かな内湾や入江の奥の満潮線のあたりにだけ生育するという特色を有する。根元は満潮になれば海水に浸され、干潮時には露出する。花は晩秋から翌年にかけて開き、果実はコルク質で中に種子を宿し、波に運ばれて分布を広げる。五島列島は、わが国でハマジンチョウが最も密度高く生育するところである。とくに福江島の玉之浦湾に多く、その一つが荒川である。延長20mに及ぶこの群生地は、玉之浦湾内では規模の大きいものである。
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