五島市の市街地の背後には、鬼岳(標高315m)や火ノ岳(標高314m)が、低い丸味を帯びた頂をもってそびえ、その南東の崎山地区には箕岳(標高144m)と臼岳(標高125m)の小さな高まりがある。いずれも玄武岩質の岩滓の噴出により形成された噴石丘であり、火山体の底面積に比べて大きな火口をもつので、臼状火山ともよばれる。火口内には紡錘形の火山弾が散在するほか、玄武岩質の粘性の低いマグマが、噴火の際に飛散って固結した粒状の火山涙も見受けられる。火山涙には、球状のもの、引き延ばされたもの、両端がふくらんだものなど種々の形のものがあるといわれる。火山涙は、ハワイの火山の噴出物にその例が多く、「ペレーの涙」といわれている。鬼岳は五島市街地の背後にそびえる噴石丘の中で最大の噴石丘で、底径1.5㎞に及び、山頂には北に開口した大きな火口がある。
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