五島市の南郊、向町海岸の砂丘に立地する複合遺跡である。
縄文時代後期遺跡包蔵地、縄文時代晩期貝塚、弥生時代前期貝塚が複合する。縄文後期においては、鐘ヶ崎式土器と北久根山(きたくねやま)式土器に伴って、石錘(せきすい)石匙(せきひ)等が多量出土した。同晩期貝塚においては、幼児を腕に擁した成人男性人骨の埋葬が見られ、弥生時代前期の貝塚においては、貝類、鹿、猪など陸獣、鯨、イルカなど海獣骨、魚骨等、豊富な自然遺物に伴って、鹿骨製ヤス、サメ歯製の鏃(やじり)、鯨骨製アワビオコシなど、多数の骨角製品があり、漁労の伝統の強さを示すものが多い。また、各時代の遺跡が境界を接する状態で成立しており、砂丘の発達につれて生活の移動したことがわかるなど、生活実態をよく読みとることができる。
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