富江半島は、天保海岸や番所山の基盤岩の丘陵を除いて、標高40m以下の起伏に乏しい溶岩台地となっている。台地の上の只狩山(84m)は小さな噴石丘で、火山弾を含む岩滓層で構成され、火口は南に向けて開口する。この富江溶岩台地にはいくつかの溶岩トンネルがあり、最大級の規模を誇る井坑(いあな)が指定を受けている。井坑の入口は大きく開き、幅6.5m、高さは3.5mある。
井坑の入口附近の地表は約40m間が陥没して、トンネルの天井が崩落しているが、その先は再び全長85mの通り抜けの可能なトンネルに連続する。トンネルはゆるやかに屈曲しながらほぼ南に向けて徐々に下がるが、延長およそ400m地点で天井まで満水状態となり、先が不明となる。先端にたまる水には海水が混じる。富江溶岩台地に発達した溶岩トンネルのうち最大級の規模を誇るもので、五島列島の地質を示すものとして価値がある。
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