小値賀島とその周辺に点在する属島(納島・斑(まだら)島・古路(ころ))島・薮路木(やぶろき)島・大島・宇々島・黒島など)の地質は、ほとんど玄武岩の溶岩流と火山砕(さい)屑物(せつぶつ)とで構成されている。溶岩状の玄武岩は、一般に平坦な溶岩台地をつくるが、火山砕屑物は噴石丘(臼状火山)をつくる。火山砕屑物は、色の黒っぽい(黒、褐、赤など)岩滓を主とし、この中にしばしば火山弾を含んでいる。とくに大島では、形の大きな火山弾が多量に見られる。火山弾は、流動性に富んだ玄武岩質のマグマが火口から空中に飛ばされ、飛行中に特定な形をとったものである。形は球、楕円体、紡錘形などと種々あるが、いずれも空中で固結した時に生ずるものである。小値賀火山島群は狭い範囲に小規模な噴火口が多数集中する世界的にも希少な単体火山である。火口の周辺では飛散したマグマが空中で冷えて固まり大小の様々な形状の「火山弾」が形成されるが、大島では1mを越す巨大な火山弾が多く産出する。
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