文珠菩薩画像の中でも頭髪を八髻(きつ)に結び、そこに八仏を描き、獅子に座した画像は八字文珠菩薩騎獅像とよび増益、息災、降伏などの修法に多く用いられたものである。本図は月輪に金剛界成身会の五仏と胎蔵界中台八葉院の五仏の種子、頭先に文珠の真言種子を描いている。文珠は妙童子の相に描かれ、右手には金剛剣、左手には青蓮の上に般若梵(ぼん)篋(きょう)を持ち、脇(わき)侍(じ)として八天童子を描いている。松浦家伝世のもので鎌倉末期の作品であろうといわれている。 大きな地図で見る