この刀は、島原藩主・深溝松平家重代の家宝であったもので、昭和39(1964)年に島原市へ寄贈されたものである。製作年代は、その形状等から鎌倉時代中期と見られる。茎(なかご)を磨上げて銘の部分を折り返してある。長さ約71.2cm、反り約2.5cm。地文はよく練れて乱れ映りが立ち、刃文も華やか中に力強さが見受けられる。作者は折返銘にみられる「神氣」と考えられるが、この刀匠は『日本刀銘鑑』(石井昌國編著.雄山閣出版)のみに記載されており、またその作品が他にないことから幻の刀匠とも言える。
また、「明暦貳年二月三日」の日付が記された本阿弥家11代当主の本阿弥光温(1603~67)の折紙が付いている。その折紙には高い権威があり、この刀の価値を高めている。
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