本図は、古く15世紀初頭当時のアジアで認識されていた世界観を描いた朝鮮製の本格的な地図である。縦219.0cm、横276.8cm。紙本着色。
図中には中国歴代帝王の国都や元代の行省府所在地が示されている。図面下端には、高麗~朝鮮王朝で活躍した儒者・権近(ゴンキン)(1352~1409)によって本図成立の経緯が記されている。それによると、本図は、中国で作成された「声教広被図(せいきょうこうひず)」と中国歴代国都の変遷を示した「混一疆理図(こんいつきょうりず)」の両図を合体複写させ、さらに朝鮮八道と日本を描き加えて建文4(1402)年に完成したものであるとする。地名等の調査により、永正10(1513)年から天文17(1549)年または永禄10(1567)年から文禄元(1592)年のいずれかの期間内に成立したものと考えられている。本図と同系統の地図は国内に他に数件が知られるが、図幅の大きさと彩色の鮮やかさは他を凌ぎ、作成時の複写元の原図の内容を最もよく伝える地図として、地図学史上の価値は非常に高い。
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