文政元年（1818）頃丸山遊郭の老舗であった引(ひけ)田(た)屋の庭園内の一部を開いて茶屋（料亭）を新築し花月楼と称した。花月では春秋２回長崎の文人等の主催で書画清譚(せいたん)会が開催された。会には国内はもとより中国・朝鮮などの文人達が作品を出品したので花月の名を全国的に有名にした。明治12年（1879）花月の建物が類焼。翌年花月は引田屋の建物の一部に移転、大正末年引田屋は廃業されたが、花月の名称と庭園、建物は現在まで引きつがれている。
　花月は創立以来、長崎に来往した著名な文人、志士達が会合をもった所であり、詩歌、版画などにも紹介され、花月には江戸時代初期に創業された引田屋の遺構の多くが引き継がれており、長崎花街史の往時をしのばせるものが多く残っている。


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