英人フレデリック・リンガーの長崎渡来の時期は不明であるが、元治元年(1864)にはその名がみえる。はじめグラバー商会に勤めたが、明治元年(1868) 29歳の時英人ホームとホーム・リンガー商会を設立し、外国貿易・商社代理店・製茶・製粉・ガス・発電等の企業にいたる幅広い活動をした。昭和15年(1882)閉鎖までの70余年間、リンガー商会が長崎の産業経済界に残した功績は大きい。リンガーは隣接地の住宅(旧オルト邸)を長男に買い与え、自分は次男と共にこの家に住んだのでリンガー弟住宅という。建築年代は元治~明治初年と推定される。
構造は小屋組が木造で外壁は石造である。3面に角石の列柱を配し、吹き放し御影石敷きのベランダを設ける。正面中央が出入口で、中央廊下を介して左右に居室を配置する。
初期の洋風建築物の典型的な平面計画がなされている。
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