【おらしょ通信】vol.357古材の温もり

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【おらしょ通信】vol.357古材の温もり

 

5月31日は「古材の日」。「こ(5)ざ(3)い(1)」と読む語呂合わせから制定されたようです。

戦前の日本では建築に国産の良質な木材が使われていたのですが、新しい木材が高価だったため古材がよく利用されていたようです。

古材とは、1950年(昭和25年)以前、または築50年以上の古民家から取り出された国産木材のことで、長い時間をかけて自然に乾燥させることから強度に優れ、歳月を重ねるほどに風合いが増してくるなど、新材にはない特徴があります。

キリスト教の禁教が解かれた1873年以降、カトリックに復帰した潜伏キリシタンのあいだで教会建設の気運が高まり、各集落には次々と木造の教会堂が誕生しました。

今では多くが老朽化して解体されたり、建て替えられたりしているようですが、その中でも変わらぬ姿を見せてくれる教会堂がいくつかあります。

そのひとつが五島市久賀島にある旧五輪教会堂です。

1881年に建てられた旧浜脇教会が1931年の建替えのときに五輪地区に移築されたもので、古い学び舎を思わせる佇まいと、歳月を重ねたなめらかな木肌の温もりが懐かしい時代へと誘ってくれます。

古い木造建築を保存していく一方で、環境への負荷を軽減するために古材を再利用する。こういった取り組みが持続可能な循環型社会の形成につながっていくのでしょうね。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-357)
より(毎週月曜日更新)

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