【おらしょ通信】 vol.329「長調に転じて」

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毎朝、出勤の準備をしながら観ている連続テレビ小説。

現在放送されているのは、多くの応援歌やヒット歌謡曲を生み出した昭和の代表的な作曲家 古関裕而さんをモデルにしたドラマです。

10月下旬の放送では、原爆投下直後、重症を負いながらも負傷者の救護にあたった医師 永井隆博士の随筆をもとに作られた『長崎の鐘』がテーマでした。

『長崎の鐘』は、原爆で倒壊した浦上教会堂の瓦礫の中から見つかった鐘のこと。博士が信徒を奮い立たせようと、生き残った人々と協力して丸太を組み、チェーンで鐘をつり上げ、終戦から4か月後のクリスマスの日に鐘を鳴らしたことでも知られています。

浦上一帯に鳴り響く鐘の音を聴いて、多くの人々が生きる勇気をもらったのではないかと思います。

このとき永井博士が詠んだのが「新しき朝の光のさしそむる 荒野にひびけ長崎の鐘」。これが『長崎の鐘』の由来だそうです。

短調で始まり、途中で長調に転じるこの曲は、戦災によって打ちひしがれた人々への応援歌だったのかもしれません。

同じく短調から長調になる楽曲といって真っ先に思い出すのがわが母校の校歌。

高校時代は他校の校歌との違いに少々戸惑いましたが、今思えば希望を持って未来を切り拓いてほしいという作者の想いが込められていたのでしょうね。

コロナ禍で暗くなりがちな昨今ですが、気分だけは長調に転じて頑張っていきたいと思います。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-329)
より(毎週月曜日更新)

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