【おらしょ通信】 vol.316「終戦の日が過ぎても」

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【おらしょ通信】 vol.316「終戦の日が過ぎても」

8月17日は「プロ野球ナイター記念日」。

1948年のこの日、横浜ゲーリック球場で日本初のプロ野球公式ナイトゲームが行われたことを記念して制定されたそうです。

プロ野球が日本に誕生したのは1934年。初めて野球が伝えられたのはそれから60年ほど遡った1872年のこと。キリスト教禁止の高札が撤廃される前年の出来事でした。

その後、本格的な野球チームが結成され、1894年になって「ベースボール」が「野球」と訳され、1896年に第一高等学校が横浜外国人チームに勝利。野球人気は全国へと広がっていきました。 

ちょうどこの頃は、カトリックに復帰した人々が各地の集落に教会堂を建設していた時代。そして、日本はさらなる繁栄をめざし資本主義国家形成の道を歩んでいました。

野球の振興に力を尽くす人、信仰の自由を守り続ける人、新しい時代を切り拓こうとする人・・・。

いつの時代も私たち人間は、同じ時間を刻みながら多くの異なる歴史を紡いでいるのです。

77億以上の人々と、人間以外の数え切れないほどの生き物たちと、海や山や川といった大自然の営みによって形づくられている私たちの世界。

その同じ空の下で、すべてのものが幾多の苦難と闘いながら今日を、明日を生き、未来へ命をつなごうとしています。

戦争なんかしている場合ではない。

終戦の日が過ぎても、8月の風がそうつぶやいているような気がします。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-316)
より(毎週月曜日更新)

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