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意見書・決議

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国に対する九州電力玄海原子力発電所の再稼働に係る緊急決議

 本県は、玄海原子力発電所から最短で、8.3キロメートルの距離に位置し、特に海域においては何ら遮蔽するものがないことから、ひとたび原子力災害が発生した場合は、県民の生命・身体の安全はもとより、県内産業から県民の日常生活に至るまで、広い範囲で大きな影響を被ることが懸念されている。
 福島第一原子力発電所事故後は原子力発電に関する県民の不安は高まるばかりであることから、去る6月14日、長崎県及び長崎県議会は、国に対し、原子力発電所における緊急安全対策をはじめとした、これまでの国の判断について、責任ある説明を行うことなどを要望したところであるが、未だ本県において、その説明がなされていないことは、誠に遺憾である。
 一方、6月29日には経済産業大臣が佐賀県知事及び玄海町長と会談し、玄海原子力発電所の再稼動を容認するよう要請したが、本県の県民の多くも不安を抱えているとともに、万が一の場合に被害を被ることは佐賀県民と同様であり、ひとり佐賀県のみを対象とすることは、本県として、到底容認できるものではない。
 よって、国におかれては、玄海原子力発電所の運転再開について決定する前に、玄海原子力発電所の運転再開に関し、安全確保のための対策等に関する説明及び県民の意見聴取の場を直ちに設けるよう強く要請する。

 

 以上、決議する。


 平成23年 7月 5日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長      横路 孝弘
参議院議長      西岡 武夫
内閣総理大臣     菅  直人
経済産業大臣 原子力経済被害担当 海江田 万里
内閣官房長官     枝野 幸男
原子力安全・保安院長 寺坂 信昭



佐賀県知事に対する九州電力玄海原子力発電所の再稼働に係る緊急決議

 本県は、玄海原子力発電所から最短で、8.3キロメートルの距離に位置し、特に海域においては何ら遮蔽するものがないことから、ひとたび原子力災害が発生した場合は、県民の生命・身体の安全はもとより、県内産業から県民の日常生活に至るまで、広い範囲で大きな影響を被ることが懸念されている。
 福島第一原子力発電所事故後は原子力発電に関する県民の不安は高まるばかりであることから、去る6月14日、長崎県及び長崎県議会は、国に対し、原子力発電所における緊急安全対策をはじめとした、これまでの国の判断について、責任ある説明を行うことなどを要望したところであるが、未だ本県において、その説明がなされていないことは、誠に遺憾である。
 一方、佐賀県知事におかれては、6月29日の経済産業大臣との会談を踏まえ、玄海原子力発電所の再稼動について安全性は確認できたとし容認する姿勢を示されている。
 しかしながら、本県の県民の多くも不安を抱えているとともに、万が一の場合に被害を被ることは佐賀県民と同様であり、改めて、国及び九州電力株式会社からの誠意ある説明と県民の意見聴取の場を直ちに設けるよう強く求めているところである。
 よって、佐賀県知事におかれては、玄海原子力発電所の運転再開に関する重要な判断を行うに際しては、本県知事及び議会との協議を行うなど、本県の意見が十分反映される手続きを踏むよう強く要請する。

 

 以上、決議する。


 平成23年 7月 5日


長 崎 県 議 会

(提出先)
佐賀県知事    古川 康
佐賀県議会議長  石井 秀夫




九州電力株式会社に対する九州電力玄海原子力発電所の再稼働に係る緊急決議

 本県は、玄海原子力発電所から最短で、8.3キロメートルの距離に位置し、特に海域においては何ら遮蔽するものがないことから、ひとたび原子力災害が発生した場合は、県民の生命・身体の安全はもとより、県内産業から県民の日常生活に至るまで、広い範囲で大きな影響を被ることが懸念されている。
福島第一原子力発電所事故後は原子力発電に関する県民の不安は高まるばかりであることから、去る6月14日、長崎県及び長崎県議会は、国に対し、原子力発電所における緊急安全対策をはじめとした、これまでの国の判断について、責任ある説明を行うことなどを要望したところであるが、未だ本県において、その説明がなされていないことは誠に遺憾である。
一方、6月29日には経済産業大臣が佐賀県知事及び玄海町長と会談し、玄海原子力発電所の再稼動を容認するよう要請した。
また、九州電力株式会社におかれても、佐賀県及び玄海町に対して緊急安全対策の内容等について説明されたとお聞きしているが、本県に対する正式な説明は未だ行われていない。
本県の県民の多くも不安を抱えているとともに、万が一の場合に被害を被ることは佐賀県民と同様であり、改めて、国からの誠意ある説明と県民の意見聴取の場を直ちに設けるよう強く求めているところである。
よって、九州電力株式会社におかれては、玄海原子力発電所の再稼働について決定する前に、玄海原子力発電所の運転再開に関し、安全確保のための対策等に関する説明会を、本県において直ちに開催するよう強く要請する。

 

 以上、決議する。


 平成23年 7月 5日


長 崎 県 議 会

(提出先)
九州電力株式会社 代表取締役会長  松尾 新吾
九州電力株式会社 代表取締役社長  眞部 利應

 





地方財政の充実・強化を求める意見書

 東日本大震災によって、東北・関東では多くの自治体が甚大な被害を受けた。今後は、自治体が中心となった復興が求められている。また、全国の経済状況は依然として停滞しており、地域の雇用確保、社会保障の充実など、地域のセーフティネットとしての地方自治体が果たす役割はますます重要となっている。
 特に、地域経済と雇用対策の活性化が求められるなかで、介護・福祉施策の充実、農林水産業の振興、クリーンエネルギーの開発など、雇用確保と結びつけ、これらの政策分野の充実・強化が求められている。平成23年度政府予算では地方交付税について総額17.5兆円を確保しており、平成24年度予算においても、震災対策費を確保しつつ、平成23年度と同規模の地方財政計画・地方交付税が求められている。
 よって、国におかれては、平成24年度の地方財政予算全体の安定確保にむけて、下記の対策を行うよう強く要望する。  


 


  1. 被災自治体に対する復興費については、国の責任において確保し、自治体の財政が悪化しないよう各種施策を十分に講ずること。
  2. 医療、福祉分野の人材確保をはじめとするセーフティネット対策の充実、農林水産業の再興、環境対策など、今後増大する財政需要を的確に取り入れ、平成24年度地方財政計画・地方交付税総額を確保すること。
  3. 地方財源の充実・強化をはかるため、国・地方の税収の適正配分を実現する税源移譲と格差是正のための地方交付税確保、国の直轄事業負担金の見直しなど、披本的な対策を進めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 平成23年7月19日

長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長      横路 孝弘  様
参議院議長      西岡 武夫  様
内閣総理大臣     菅  直人  様
総務大臣        片山 善博  様
財務大臣       野田 佳彦  様
内閣官房長官     枝野 幸男  様




公共輸送機関の存続へ向け、JR九州等に係る経営支援策等に関する意見書

 昭和62年4月1日に国鉄が分割・民営化され、自立経営を確保し、公共輸送の使命と地域を支える鉄道の再生を図るべく、JR7社が誕生した。
 そして、JR東日本、東海、西日本の本州3社は、株式を上場して完全民営化を果たした。しかし、多くの地方ローカル線を抱えるJR九州をはじめとしたJR北海道、四国のJR三島会社と、国鉄時代の老朽資産を多く保有するなど構造的問題を抱えるJR貨物については、積極的な営業施策や徹底した経営効率化など、労使をあげた努力を重ねてきたが、来年4月にJR発足25年の節目を迎える今日もなお、自立経営を確保する目処が立っていない。
 JR三島会社は、営業赤字を前提に、経営安定基金の運用益や税制特例等の支援策を基に黒字を確保する形で設立された。少子高齢化や地方の過疎化が進む中で、金利の急落で経営安定基金の運用益が半減しながらも、各社の努力で何とか経営を維持しているのが実態である。
 こうした中、本年度末には、JR三島・貨物会社の経営支援策の重要な柱である固定資産税等の減免措置の特例が期限切れを迎える。東日本大震災の教訓から、地域の鉄道が果たす役割や鉄道貨物輸送の重要性が再認識される中で、JR三島・貨物会社の社会的な役割と、未だ完遂されていない国鉄改革の課題に鑑みれば、JR発足25年を契機に、これらの税制特例措置を延長し、当該各社の経営自立にむけた安定的な運営と、地域交通や鉄道貨物の確保にむけた道筋を明らかにすることが必要であると考える。
 JRは、地域住民の足として、国民生活に欠くことのできない存在である。しかし、JR三島・貨物会社に講じられている税制特例は平成24年3月末に期限切れを迎え、それ以降、支援策が講じられなければ、再び赤字線の廃止や運賃改定などによって、利用者や地域住民に犠牲が押しつけられることになることは必至である。
 よって、国におかれては、次年度の税制改正において、下記の事項について実施するよう強く要望する。


 


  1. JR三島・貨物会社に係る固定資産税、都市計画税を減免する特例措置(いわゆる「承継特例」「三島特例」等)を延長すること。
  2. JR三島・貨物会社をはじめ、鉄道事業各社における鉄道車両、軌道用車両などの動力源用軽油に対する軽油引取税については、現在の減免措置を継続すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 平成23年7月19日

長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長      横路 孝弘  様
参議院議長      西岡 武夫  様
内閣総理大臣     菅  直人  様
総務大臣        片山 善博  様
財務大臣       野田 佳彦  様
国土交通大臣     大畠 章宏  様
内閣官房長官     枝野 幸男  様




350万人のウイルス性肝炎患者の救済に関する意見書

 わが国にはB型・C型肝炎感染者・患者が350万人もおり、その大半は血液製剤の投与、輸血、集団予防接種における針・筒の使い回しなどの医療行為による感染で、国の責任による医原病とされる。ウイルス性肝炎は慢性肝炎から高い確率で肝硬変・肝臓がんに進行し、命が危険となる重大な病気である。肝炎患者の大半はインターフェロン治療の助成以外は何の救済策もないまま、病気の進行、高い治療費負担、生活困難にあえぎ、毎日120人ほどの患者が命を奪われている。感染に気付かず、治療しないまま肝炎が進行している人も少なくない。
  肝炎患者のうち、フィブリノゲンなど特定血液製剤を投与して感染したことが、カルテなどで証明できた薬害C型肝炎被害者にのみ、裁判手続を経て国が給付金を支払う、「薬害肝炎救済特別措置法(以下「救済特措法」)」が平成20年1月に制定された。
 しかし、C型肝炎患者の多くは、感染してから長い年月を経て発症するので、気付いた時にはカルテの保存義務の5年がすぎており、ほとんどの患者はカルテ等による血液製剤投与の証明が難しく、救済特措法による対象から除外されている。救済特措法制定の際の衆参両議院の附帯決議にあるように、@手術記録、母子手帳等の書面、A医師等の投与事実の証明、B本人・家族等による証言によって、特定血液製剤による感染の可能性のある患者は薬害肝炎被害者として認め、救済特措法を適用し広く救済する枠組みにしなければ救済されない。
 また集団予防接種の際の注射器の連続使用によってB型肝炎感染被害では、最高裁での国の責任の確定判決をもとに、和解が進められているが、大半は母親がB型肝炎ではないことの証明ができず、集団予防接種の裁判で救済される患者はごく少数に限られる。
 注射針や輸血が原因のC型肝炎患者、集団予防接種の証明ができないB型肝炎患者は裁判の救済の対象外とされ、同じ被害に苦しむB型・C型肝炎患者の9割以上には、何ら救済策が講じられていない。
  以上のようなB型・C型肝炎感染の経緯、実態をふまえて、国内最大の感染症被害をもたらしたことに対する国の責任が明記され、肝炎患者の救済、肝炎対策を国、地方公共団体の責務と定めた肝炎対策基本法が、平成21年11月に制定された。患者救済の根拠となる基本法はできたが、国の肝炎対策基本指針、必要な個別法の制定、予算措置がなければ、患者の救済は進まない。
 よって、国におかれては、これらの患者を救済するため、下記の事項について速やかに必要な措置を行うよう強く要望する。


 


  1. 肝炎対策基本法をもとに、患者救済に必要な法整備、予算化をすすめ、全患者の救済策を実行すること。
  2. 「救済特措法」による救済の枠組みを広げ、カルテ以外の記録、医師らの証明、患者・遺族の記憶・証言などをもとに特定血液製剤使用可能性のある薬害C型肝炎患者を救済すること。また、特措法の期限延長をはかること。
  3. 集団予防接種が原因とされるB型肝炎患者の救済策を講じること。
  4. 肝庇護薬、検査費用、通院費への助成をはじめ、肝炎治療費への支援、生活保障を行うこと。基本法が定めた肝硬変・肝がん患者への支援策をすすめること。
  5. ウイルス性肝炎の治療体制・治療環境の整備、治療薬・治療法の開発促進、治験の迅速化などをはかること。
  6. 医原病であるウイルス性肝炎患者に一時金もしくは健康管理手当などを支給する法制度を確立すること。
  7. 肝炎ウイルスの未検査者、ウイルス陽性者の未治療者の実態を調査し、早期発見・早期治療につなげる施策を講じるとともに、ウイルス性肝炎への偏見差別の解消、薬害の根絶をはかること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 平成23年7月19日

長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長      横路 孝弘  様
参議院議長      西岡 武夫  様
内閣総理大臣     菅  直人  様
総務大臣       片山 善博  様
法務大臣       江田 五月  様
財務大臣       野田 佳彦  様
厚生労働大臣     細川 律夫  様
内閣官房長官     枝野 幸男  様




未来を担う子どもたちの教育を守る義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書

 義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等及び義務教育費無償の原則として、全国のどこで学んでも子どもたちが等しく教育を受けることができるようにするとともに、自治体間での教育水準に格差を生じさせないようにするため制定されたものである。
  また、当該制度は、国による教育分野の「最低保障」ともいうべきものであり、地方分権の推進を阻害するものではなく、すべての国民に対し適正な規模と内容の義務教育を保障することは国の重要な責務でもある。
  さらに、未来を担う子どもたちに対し、一人ひとりの国民として必要な基礎的資質を培うための豊かな教育を保障することは、国の社会基盤形成の根幹ともなるものである。
  しかし、平成18年度において、当該制度自体は堅持されたものの、義務教育費の国庫負担率は2分の1から3分の1に引き下げられた。また、地方分権改革推進委員会は、平成21年11月9日に「第4次勧告」を発表し地方分権改革推進計画の早期策定を政府に求めたところである。この勧告では国庫補助負担金の一括交付金化にかかわり「社会保障や義務教育関係を除く」とされているが、政府は地域主権戦略会議を立ち上げ、都道府県から基礎自治体(市町村)へ権限移譲について検討しているところであり、また、「国の義務づけ、枠づけ」についても検討されている。
  現在、義務教育費国庫負担金が減額された分は地方交付税で措置されている。平成23年度予算の地方交付税は前年度比2.8%増で、国庫負担率変動前の水準に戻しているが、一括交付金化を見越した地方交付税の増額であり、義務教育にとって恒久的に安定した財源とは言えない。
 全国的な教育水準を確保し、安定した地方財政を構築するためには、義務教育費国庫負担率を2分の1に復元すべきである。
 教育予算は未来への先行投資であり、子どもたちに最善の教育環境を提供していくことは社会的な使命である。
  よって、国におかれては、義務教育費の負担率を2分の1に復元することを含め、義務教育費国庫負担制度を堅持されるよう強く要望する。 


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 平成23年7月19日

長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長      横路 孝弘  様
参議院議長      西岡 武夫  様
内閣総理大臣     菅  直人  様
総務大臣       片山 善博  様
財務大臣       野田 佳彦  様
文部科学大臣     燒リ 義明  様
内閣官房長官     枝野 幸男  様




国営諫早湾干拓事業潮受堤防排水門の開門反対及び開門実施方針の見直し等を求める意見書

 昨年12月6日に、諫早湾干拓事業の潮受堤防撤去及び排水門の常時開門等を求める「工事差止等請求事件」の控訴審において、国に5年間の常時開放を命じる判決が福岡高等裁判所から出された。
 しかしながら、この判決は、平成17年の工事差止仮処分事件に関する最高裁判所決定と異なり、潮受堤防の締切りと漁業被害について合理性に欠ける根拠により因果関係を認定したことや潮受堤防が果たしている防災効果や代替水源がない中で調整池が営農上不可欠であるという実態を全く無視した判決であり、重大な問題を含むとともに、開門により影響被害を直接受ける地域住民にとって、到底容認できるものではなかった。
 このため、県議会としても、昨年12月7日、「諫早湾干拓事業工事差止等請求事件の上訴に関する意見書」、12月16日「福岡高裁判決に対する国の上訴放棄に抗議する決議」を可決するとともに、再三にわたり地元等と連携して国に対して地元の実情を説明し、上訴するよう訴えたところである。
 にもかかわらず、菅総理は、地域住民に一遍の説明もないまま、具体的な理由も示さず、さらには被害を回避する実現可能な具体的対策も示すことなく、一方的に上訴放棄、開門受け入れを表明し、上訴期限である12月20日の経過により判決が確定してしまったところである。
 さらには、地域住民の憤りや不安など切実な声に応えて頂きたいと、本年1月13日付けで、長崎県知事、諫早市長、雲仙市長連名で菅総理へ提出された質問状に対する回答でも、上訴放棄の理由として「有明海の再生を目指す観点から総合的に判断して決定した」。また、開門による具体的な影響・対策等については、「現在実施している環境アセスメントにおいて検討しているところ」「開門の方法、時期、期間について関係者と話し合うとともに、必要となる対策を講じていく」との回答に終始し、地元住民が懸念する開門による防災・農業・漁業・環境への具体的影響や実現可能な対応策等については具体的回答が全くなかった。
 このことから、地域住民の方々は、地域の安全安心な生活と生活の基盤を守るためには自ら訴訟をせざるを得ないと、訴訟を支援する住民組織を立ち上げるとともに、本年4月19日、低平地に住む地域住民、農業者、漁業者等350名の方々が潮受堤防排水門の開放差止訴訟を長崎地方裁判所に提起するに至ったのである。
 こうした中、去る6月10日、国は潮受堤防排水門の開門に係る環境影響評価準備書(素案)を公表した。
 ところが、この素案では、潮受堤防排水門の開門による影響は、ほぼ諫早湾内に限定され、開門しても有明海全体にはほとんど影響がないことが明らかになった。一方、諫早湾及び周辺地域では、防災・農業・漁業への甚大な影響があることが科学的・客観的に明らかになったにもかかわらず、これら影響被害に対して示された対策は、100年に一度の諫早大水害の雨を前提とした現在の防災レベルを引き下げ、農業用水確保策として地盤沈下に苦しんできた地元が強く憂慮する地下水案を採用し、周辺漁場への濁りや浮泥の堆積等に対する具体的対策を何ら示さないなど、地元の不安や地元の実態を全く無視したものであり、決して万全なものと言えるものではなかった。
 つまり、これまで地元が繰り返し主張してきたとおり、開門しても、地元に影響被害のみがあり、有明海全体の環境改善には繋がらないことが科学的・客観的に裏付けられたのであり、開門を行う意義、根拠は全くないことが明らかになったのである。
 さらには、去る6月27日、小長井町と佐賀県太良町の一部の漁業者が求めていた排水門の開門等請求訴訟において、長崎地方裁判所は、潮受堤防が高潮遮断効果、洪水時の防災効果、常時の排水不良対策効果を有するとともに、大規模で平坦な農地と農業用水を提供する営農効果を有しており、事業の公共性が認められること、開門請求を求める小長井町の原告漁業者の漁業行使権は漁業補償契約によって制約を受けることなどを認め、開門請求を棄却した。これはこれまで本県及び地元関係者が主張してきたところであるとともに、国が裁判上主張立証してきたことであり、その正当性が正に司法上も認められたにもかかわらず、国は依然として開門の姿勢を変えようとしない。
 よって、長崎県議会は断固開門に反対する立場から、国におかれては、開門すれば地元に影響被害は確実で、有明海全体の環境改善には繋がらないという環境影響評価準備書素案の科学的な根拠に基づく報告や、諫早湾干拓事業の公共性と漁業補償契約の有効性を認め、開門請求を棄却した長崎地方裁判所判決を重く受け止め、開門方針を見直すとともに、今後行われる開門等請求訴訟の控訴審において、開門阻止へ向け開門の問題点等について主張立証を尽くすよう、強く要望する。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 平成23年7月19日

長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長      横路 孝弘  様
参議院議長      西岡 武夫  様
内閣総理大臣     菅  直人  様
総務大臣       片山 善博  様
財務大臣       野田 佳彦  様
農林水産大臣     鹿野 道彦  様
国土交通大臣     大畠 章宏  様
環境大臣       江田 五月  様
内閣官房長官     枝野 幸男  様

 




石木ダム建設推進に関する決議

 地球温暖化に伴う気候変動による大渇水・大洪水の発生は、顕著な増加傾向を示しており、今般の痛ましい東日本大震災の発生とは異なり、現実的に想定されうる自然災害として、早期の治水・利水対策を講じておかなければならない課題である。
 現下の景気低迷のなか、佐世保市の慢性的な水不足は、市民生活のみならず、県北地域全体の企業活動や観光振興などにも、多大な影響を及ぼすことは避けられないために、安定した水資源の確保は必要不可欠であり、川棚川の抜本的な治水対策による流域住民の安全・安心の生活の確保のためにも、石木ダムの早期完成は、喫緊の課題である。
  石木ダムは、これまでに8割もの地権者の方々が苦渋の選択をされ、ご協力をいただいているが、残る2割の地権者の方々とは、長い間話し合いの糸口が見出せず、こう着した状態であった。しかし、最近では十数年ぶりに、知事が直接会う機会が得られ、今後の解決に向けて大きな足がかりになるものと期待しているところである。
  一方、昨年9月には、国土交通大臣より石木ダムの検証の要請を受け、長崎県、佐世保市、川棚町、及び波佐見町による検討の場を設け、広く県民の皆様のご意見を踏まえ、現行の石木ダム案が最も優位であるとの共通認識が得られ、その後、第三者機関である長崎県評価監視委員会の審議を経て、石木ダム事業の継続の意見書が提出もなされ、この手続きを通して意見の集約が図られている。
  石木ダムの早期解決は、県北地区全体の振興、佐世保市民、川棚町民の安全で安定した生活を確保するために、一刻の猶予も許されるものではないことから、下記の方針に基づき進められることを強く要望する。


 


  1. 残る地権者の皆様に対しては、事業に対するご理解をいただき、将来の生活に不安がないように、親身になって誠心誠意対応し、これまで以上に話し合いを加速させること。
  2. 厳しい財政状況のなか、国の予算編成の時期が近まっており、石木ダム建設の推進に向け、必要な予算を確保し、着実な事業執行に努めること。

 以上、決議する。


 平成23年7月19日

長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事    中村 法道  様

 

 

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