障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例 令和7年度活動報告書 令和8年6月 長崎県福祉保健部障害福祉課 はじめに 本県では、障害のあるなしにかかわらず、誰もが社会を構成する一員として、あらゆる 社会活動に参加できる共生社会の実現を目指して、障害のある人に対する差別を禁止し、 差別をなくすための施策を推進するための事項を定めた、「障害のある人もない人も共に 生きる平和な長崎県づくり条例」を制定しています。 この報告書は、条例全面施行から12年目にあたる令和7年度、1年間の相談活動実績を まとめたものです。 相談窓口にどのような相談が寄せられ、問題の解消のために何が求められているのかを 県民の皆様に知っていただくことで、障害のある人に対する差別をなくし、共生社会を 実現するためにできることは何なのか考えていただくきっかけになればと思います。   目次 T 条例の仕組み 1 条例の目的 2 障害のある人とは 3 差別の禁止 4 相談体制 5 問題解決のための調整機関 6 問題解決までの流れ U 相談活動の実績 1 相談者 2 相談方法 3 相談分類 4 相談分野 5 対応方法 6 活動回数と活動期間 7 連携 8 圏域別の相談件数 V 相談事例 W 障害理解・啓発活動 T 条例の仕組み                                   1  条例の目的 この条例は、障害や障害のある人に対する県民の理解を深め、障害のあるなしに かかわらず、誰もがあらゆる社会活動に参加できる共生社会の実現を目指して います。   2 障害のある人とは 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病を原因とする障害など心身の 機能の障害があり、これらの障害と社会的障壁によって、継続的又は断続的に 日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態にある人を「障害のある人」と 規定しています。            3 差別の禁止 不均等待遇を行うこと 不均等待遇とは、障害や障害に関することを理由として、区別、排除、制限 したり、条件を課すなど、障害のない人と異なる取扱いをすることです。 特別な事情がないのに不均等待遇を行うことは差別に当たります。 合理的配慮を怠ること 合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と同等に権利を行使したり、 同等の機会や待遇を受けるために必要な現状の変更や調整を過度な負担が生じ ない範囲で行うことです。障害のある人の求めがあった場合に、特別な事情が ないのに合理的配慮を怠ることは差別に当たります。 4 相談体制 差別に関する相談窓口として、各市町に地域相談員を156名(令和8年3月31日現在)、 長崎県障害福祉課内に広域専門相談員を2名配置しています。相談を受けた地域相談員と 広域専門相談員は、当事者それぞれの話を十分に聴き、問題解決に向けて取扱方針を 決定し、その方針に基づき連携して対応します。地域相談員は、各市町が委嘱している 身体障害者相談員・知的障害者相談員・精神保健福祉相談員で承諾が得られた方に委託 しています。 地域相談員の内訳(令和8年3月31日現在) 長崎市10名(身体4名、知的4名、精神2名) 佐世保市18名(身体14名、知的4名) 島原市5名(身体2名、知的3名) 諫早市6名(身体3名、知的2名、精神1名) 大村市7名(身体3名、知的2名、精神2名) 平戸市7名(身体4名、知的3名) 松浦市11名(身体8名、知的3名) 対馬市6名(身体3名、知的3名) 壱岐市9名(身体6名、知的3名) 五島市13名(身体9名、知的4名) 西海市12名(身体8名、知的4名) 雲仙市8名(身体4名、知的4名) 南島原市16名(身体9名、知的5名、精神2名) 長与町7名(身体5名、知的2名) 時津町3名(身体2名、知的1名) 東彼杵町2名(身体2名、) 川棚町4名(障害区分なし) 波佐見町3名(身体2名、知的1名) 小値賀町0名 佐々町2名(身体1名、知的1名) 新上五島町7名(身体3名、知的3名、精神1名) 相談員数計156名(身体障害者相談員92名、知的障害者相談員52名、精神障害者相談員 8名) 5 問題解決のための調整機関 地域相談員や広域専門相談員による問題解決が困難な場合は、障害のある人やその関係者 からの申し立てにより、「障害のある人の相談に関する調整委員会」(以下、「調整 委員会」という。)が助言やあっせんを行います。調整委員会は、申立てのあった事案に ついて専門的な見地から公正・中立な判断をし、当事者双方の事情や意見を検証して、 解決に向けた助言やあっせんを行います。 6 問題解決までの流れ 差別に関する問題が発生したら、県の相談窓口である地域相談員又は広域専門相談員が 相談を受け付けます。相談員が調査や調整等を行い問題の解決を図ります。相談員に よる解決が困難な場合は、申立てにより調整委員会による助言・あっせんを行い解決を 図ります。特に悪質な差別があったと思われる事案を解決するための手段として、知事に よる勧告・公表を用意しています。 U 相談活動の実績                                 1 相談者 相談者と障害区分 (本人)肢体不自由3件、視覚障害2件、聴覚障害2件、内部障害1件、精神障害7件、 その他1件、不明3件、計19件 (家族)精神障害1件、不明1件、計2件 (支援関係者)聴覚障害2件、発達障害1件、計3件 (友人・知人)0件 (その他)肢体不自由1件、聴覚障害1件、内部障害1件、不明2件、計5件 (計)肢体不自由4件、視覚障害2件、聴覚障害5件、内部障害2件、知的障害0件、 精神障害8件、発達障害1件、難病0件、その他1件、不明6件、計29件 ※区分については、相談者に確認して分類しています。 相談者は、障害のある「本人」が19件と最も多くなっています。次いで、「支援 関係者」が3件、「家族」が2件、「その他」の5件は、行政職員等からの相談でした。   障害区分では、「肢体不自由」4件、「視覚障害」2件、「聴覚障害」5件、「内部 障害」2件を合計した「身体障害」が13件と最も多く、次いで「精神障害」が8件、 「発達障害」が1件、「その他」、「不明」の7件は、障害全般に関る相談でした。 2 相談方法 障害のある人に対する差別に関する相談は、電話、面談、手紙、ファックス、メールに より受理しています。相談は、障害の特性や状況に合わせて相談者が伝えやすい手段で できるようにしていますが、電話による相談が23件と大半を占めています。 受付時の相談方法 電話23件、面談2件、手紙0件、ファックス0件、メール4件、計29件 3 相談分類 令和7年度、1年間に相談窓口に寄せられた相談は29件でした。結果として、不均等待遇 や合理的配慮の欠如に該当する相談は0件でした。調整委員会への申立てが行われた事案 は、ありませんでした。 相談分類別の件数 主訴として、不均等待遇9件、合理的配慮の欠如5件、不適切な行為3件、不快・不満 5件、意見・要望3件、問い合わせ4件、傾聴事案0件、計29件でした。 結果として、不均等待遇0件、合理的配慮の欠如0件、不適切な行為1件、不快・不満 16件、意見・要望2件、問い合わせ5件、傾聴事案5件、計29件でした。 ※相談分類項目の定義 「不適切な行為」条例の不均等待遇、合理的配慮の欠如には該当しないが、差別的・ 不適切な行為があったと考えられるもの。 「不快・不満」差別や不適切な行為があったとは判断できないが、相談者が差別と捉えて 不快・不満の訴えをしているもの。 「意見・要望」条例や福祉制度、県への意見や要望に類するもの。 「問い合わせ」条例や福祉制度、合理的配慮の対応方法に関する問い合わせや リーフレットの提供依頼など。 「傾聴事案」相談者自身の気持ちを聞いてもらいたいというものや、対応不要の意思表示 があったもの。 相談分類と障害区分 受付時の主訴 (不均等待遇)肢体不自由2件、聴覚障害2件、内部障害1件、精神障害3件、不明1件、 計9件 (合理的配慮の欠如)聴覚障害1件、精神障害4件、計5件 (不適切な行為)肢体不自由1件、聴覚障害1件、発達障害1件、計3件 (不快・不満)聴覚障害1件、精神障害1件、不明3件、計5件 (意見・要望)肢体不自由1件、聴覚障害1件、内部障害1件、計3件 (問い合わせ)聴覚障害1件、その他1件、不明2件、計4件 (傾聴事案) 0件  (計)肢体不自由4件、視覚障害2件、聴覚障害5件、内部障害2件、知的障害0件、 精神障害8件、発達障害1件、難病0件、その他1件、不明6件、計29件 結果 (不均等待遇)0件 (合理的配慮の欠如)0件 (不適切な行為)肢体不自由1件 (不快・不満)肢体不自由3件、視覚障害1件、聴覚障害3件、内部障害1件、精神障害 4件、発達障害1件、不明3件、計16件 (意見・要望)視覚障害1件、聴覚障害1件、計2件 (問い合わせ)聴覚障害1件、精神障害1件、その他1件、不明2件、計5件 (傾聴事案)内部障害1件、精神障害3件、不明1件、計5件 (計)肢体不自由4件、視覚障害者2件、聴覚障害5件、内部障害2件、知的障害0件、 精神障害8件、発達障害1件、難病0件、その他1件、不明6件、計29件  主訴として「差別に関する相談(特定相談)」で、「不均等待遇」に分類される相談は、 障害区分の「肢体不自由」で2件、「視覚障害」で2件、「内部障害」で1件、「精神 障害」で3件、「不明」で1件の計9件ありました。「合理的配慮の欠如」に分類される 相談は、「聴覚障害」で1件、「精神障害」で4件の計5件ありました。事実確認などの 結果としては、「不快・不満」が16件と最も多く、「問い合わせ」、「傾聴事案」が 各5件、「意見・要望」が2件、「不適切な行為」が1件でした。 4 相談分野 条例では、日常生活や社会生活での10の個別分野における差別行為の禁止を特に定めています。 (差別の禁止が規定されている10の個別分野) 福祉サービスの提供、医療の提供、商品及びサービスの提供、労働及び雇用、教育、建築物の 利用、交通機関の利用、不動産取引、情報の提供等、意思表示の受領 相談分野と障害区分は、主訴が「不均等待遇」・「合理的配慮の欠如」の「差別に関する 相談(特定相談)」の14件を相談の分野で分類したものです。 相談分野と障害区分 (福祉サービスの提供)視覚障害1件、精神障害1件、計2件 (医療の提供)0件 (商品及びサービスの提供)0件 (労働・雇用)精神障害2件 (教育)その他)0件 (建築物の利用)0件 (交通機関の利用)肢体不自由1件 (不動産取引)肢体不自由1件、精神障害1件、計2件 (情報の提供等)聴覚障害1件 (意思表示の受領)精神障害1件 (その他)視覚障害1件、内部障害1件、精神障害2件、不明1件、計5件 (計)肢体不自由2件、視覚障害2件、聴覚障害1件、内部障害1件、知的障害0件、 精神障害7件、発達障害0件、難病0件、その他0件、不明1件、計14件 10分野別の相談件数 障害区分ごとに、どのような分野の相談があったかをみると、障害区分の「肢体不自由」 がある人からの相談2件は、「交通機関の利用」が1件、「不動産取引」が1件でした。 「視覚障害」がある人からの相談2件は、「福祉サービスの提供」が1件、「その他」が 1件でした。「聴覚障害」がある人からの相談は「情報の提供」が1件、内部障害のある 人からの相談は、「その他」が1件でした。「精神障害」がある人からの相談7件は、 「福祉サービスの提供」、「不動産取引」、「意思表示の受領」が各1件、「労働及び 雇用」「その他」が各2件でした。「障害の有無が不明な方」からの相談1件は、 「その他」でした。 10分野の分野別の相談件数をみると、「その他」の分野が5件で最も多く、「福祉 サービスの提供」「労働及び雇用」「不動産取引」が各2件、「交通機関の利用」、 「情報の提供」「意思表示の受領」が各1件となっています。 5 対応方法 対応と相談分野 主訴が「不均等待遇」・「合理的配慮の欠如」の「差別に関する相談(特定相談)」の 14件の対応を相談分野別に分類したものです。 なお、事実確認等を行った結果、「差別に関する相談(特定相談)」は、0件でした。 (相手方との調整)0件 (事実確認等)福祉サービスの提供1件、交通機関の利用1件、不動産取引1件、意思 表示の受領1件、その他1件、計5件 (関係機関引き継ぎ)労働及び雇用1件 (助言)0件 (意見・要望の伝達)情報の提供等1件 (相談窓口の紹介)その他1件 (情報提供・資料送付)0件 (傾聴主体)福祉サービスの提供1件、労働及び雇用1件、不動産取引1件、その他 3件、計5件 (計)(福祉サービスの提供2件、医療の提供0件、商品及びサービスの提供0件、労働 及び雇用2件、教育0件、建築物の利用0件、交通機関の利用1件、不動産取引2件、 情報の提供等1件、意思表示の受領1件、その他5件、計14件  差別に関する相談についての対応は、全体として「事実確認等」が5件、「関係機関 引継ぎ」、「意見・要望の伝達」、「相談窓口の紹介」が各1件、「傾聴主体」が6件 でした。 「事実確認等」を行った相談分野は、「福祉サービスの提供」、「交通機関の利用」、 「不動産取引」、「意思表示の受領」、「その他」が各1件でした。 対応と相談分類(結果)の関係 次の表は、相談に対する対応状況について、相談分類と対応の関係を表したものです。 相談者の同意に基づき、相手方や関係者から聴き取り調査を行い、双方の意向を確認した 後に条例における対応方針を決定し、調整や対応を行っています。 (相手方との調整)0件 (事実確認等)不適切な行為1件、不快・不満5件、計6件 (関係機関引継ぎ)不快・不満5件、問い合わせ1件、計6件 (助言)0件 (意見・要望の伝達)不快・不満1件 (相談窓口の紹介)不快・不満3件、問い合わせ2件、計5件 (情報提供・資料送付)問い合わせ1件 (傾聴主体)不快・不満2件、意見・要望2件、問い合わせ1件、傾聴事案5件、 計10件 (計)不均等待遇0件、合理的配慮の欠如0件、不適切な行為1件、不快・不満16件、 意見・要望2件、問い合わせ5件、傾聴事案5件、計29件 「不快・不満」16件についての対応は、「事実確認等」、「関係機関引継ぎ」が 各5件、「相談窓口の紹介」が3件、「意見・要望の伝達」が1件、「傾聴主体」が2件 でした。 「問い合わせ」5件についての対応は、「相談窓口の紹介」が2件、「関係機関引継ぎ」 「情報提供・資料送付」、「傾聴主体」が各1件でした。「傾聴事案」5件についての 対応は、「傾聴主体」が5件でした。「意見・要望」2件についての対応は、「傾聴 主体」が2件でした。「不適切な行為」1件についての対応は、「事実確認等」でした。 6 活動回数と活動期間 対応ごとの活動回数 (相手方との調整)0件、活動回数0回、平均回数0.0回 (事実確認等)6件、活動回数24回、平均回数4.0回      (関係機関引継ぎ)6件、活動回数25回、平均回数4.2回 (助言)0件、活動回数0回、平均回数0.0回 (意見・要望の伝達)1件、活動回数2回、平均回数2.0回 (相談窓口の紹介)5件、活動回数10回、平均回数2.0回 (情報提供・資料送付)1件、活動回数2回、平均回数2.0回 (傾聴主体)10件、活動回数19回、平均回数1.9回 (合計)29件、活動回数82回、平均回数2.8回 活動回数(対応回数)は、事案や対応方法によって大きな差がありますが、平均すると 2.8回となりました。 「事実確認等」の対応は、複数の機関と連携して対応にあたることが必要なため活動回数 (対応回数)が多い傾向がありました。また、相談件数は昨年度(32件)より3件減少 でした。 相談受付から解決までの活動期間については、相談を受けた当日に解決したものが16件 と最も多く、2日間が3件、3日間が2件、4日間が2件、5日間が1件、6日間が 1件、15日間が2件、16日間が1件、22日間が1件でした。 7 連携 問題解決のために、必要な場合には、他の機関等と連携を図って対応を行っています。 対応をしていく中で、他機関等と連携し解決に至った件数は、12件でした。  主な連携先は、県の担当課や、国・県・市町の関係機関、事業者などです。 地域相談員との連携 相談活動 地域相談員が「差別に関する相談」を受けた際は、広域専門相談員と連携して問題の解決 を図っています。地域相談員が相談を受けて、広域専門相談員が対応を引き継いだ相談は 1件でした。 地域相談員研修会 令和5年度から令和7年度にかけ、全圏域で地域相談員研修会を開催しました。 令和7年度は、県内2地区(壱岐地区、県央地区)で2回の研修会を開催しました。 相談員通信 地域相談員と広域専門相談員の連携の一助として、相談員通信を年に1回発行 しています。 内容は、障害者週間ポスターコンクール、県条例認知度調査結果、街頭キャンペーン、 障害理解促進に向けた事業者との意見交換会、地域相談員研修会の様子等について掲載を しました。 8 圏域別の相談件数 相談者の居住地域を障害保健福祉圏域(10圏域)で分類しています。 圏域別相談件数 長崎圏域7件、西彼圏域2件、県央圏域3件、佐世保圏域2件、県北圏域3件、県南 圏域3件、五島圏域2件、上五島圏域0件、壱岐圏域0件、対馬圏域0件、県外2件、 不明5件、合計29件 圏域別の相談件数については、「長崎圏域」が7件と最も多く、「県央圏域」、「県北 地区」、「県南圏域」、が各3件、「西彼圏域」、「佐世保圏域」、「五島圏域」、 「県外」が各2件、「不明」が5件でした。 V 相談事例 寄せられた相談について、個人情報保護の観点から、内容を一部変更するなど再構成をした うえで、事例として掲載しています。 1 労働及び雇用   (相談内容)職場の上司に、障害があることを伝えたら解雇された 相談者:精神障害のあるAさん Aさんは、ハローワークの一般求人に、精神障害があることを告知せず応募し、採用となりました。 1年後、自分に精神障害があることを職場の上司に打ち明けたところ、急に解雇されてしまいました。 これは、不当解雇に当たるのではないでしょうか。事業者を訴えたいです。 (対応と結果) 相談者は、相手方への事実確認や調整等は望んでおらず、事業者を不当解雇で訴えたい という要望でした。 今後の対応についてAさんと相談のうえ、労働局の総合労働相談窓口に引き継ぐことと しました。 (広域専門相談員から) 雇用の分野では、障害者雇用促進法で障害のある人に対する差別が禁止され、合理的配慮 の提供が義務付けられています。本件では事実確認はできませんでしたが、「障害がある」 ということを告知せずに就職し「障害がある」ことが判明した場合、労働能力等があるにも かかわらず、障害があることを理由に解雇することは、差別的取扱いに該当すると考え られます。 採用後、障害であることが判明した場合は、業務上で支障がない場合であっても、障害の 種類や特性・程度などを確認し、障害のある人が働きやすい環境となるよう、合理的配慮 について両者で話し合うことが大切です。 一人ひとりが、障害のある人への誤解や偏見をなくし、お互いが歩み寄り、障害に 対する理解を深めることで、障害のある人とない人が共に働くことが当たり前の社会へと 繋がっていくのではないでしょうか。 2不動産取引  (相談内容)アパートの賃貸契約について 相談者談者 肢体不自由のあるBさん Bさんは、地域移行支援により1人暮らしを始めることになりました。 車椅子を利用しており、インターネットで段差の少ない物件を見つけ、管理している 不動産会社へ内見希望を伝えました。 不動産会社とはメールでやり取りをして、自分は車椅子を利用していること、24時間 サポートの支援があることを伝えました。 物件の内見は、代理で支援者が行ってくれました。そこで、不動産会社を通して、大家 から「車椅子利用の方はお断りする」という旨を伝えられました。 大家との十分な話し合いをすることなく、車椅子利用を理由に賃貸を断るのは、不均等 待遇に該当するのではないでしょうか。酷く傷ついています。大家に差別しないように 言ってください。 (対応と結果) 不動産会社へ状況確認を行った結果、当該物件の敷地は、隣接する建設会社の所有と なっており、普段から駐車場には軽トラックや材木などの資材が置かれ、時期に よっては材木が散乱するなど、障害のない人にとっても通行するのに不便な状況に あるといいます。大家は、相談者の身の安全を考慮し、このような環境の中で車椅子 利用の方が生活するのは困難なのではないかという思いから、 お断りをする方向になったということでした。 不動産会社へ、やむを得ない事情でお断りする場合であっても、障害のある人への差別と 誤解されないよう、障害のある人に納得がいくよう丁寧に説明する必要があることを 伝えました。 (広域専門相談員から) 条例では、特別な事情がなく、障害を理由として、不動産の売買や賃貸を拒んだり、制限 したり、条件を付けることは差別にあたると規定しています。 本件の場合、内見の際に両者で「賃貸物件の特性」・「障害の特性」などを話し合った うえで、それでも入居が難しいという結果であったならば、当事者は障害を理由に差別を 受けたという思いはしなかったかもしれません。 また、対応が困難に思われるような場合であっても、建設的対話を通じて個別の事情等を 互いに共有 すれば、双方にとって納得できる形で社会的障壁の除去が可能になることがあります。 そのためには、まずは障害のある人との対話を始めることが重要です。 地域移行支援とは 障害者支援施設、精神科病院に入所又は入院している障害者を対象に、住居の確保その他の 地域生活へ移行するための支援を主なう。 3 その他 (相談内容)合理的配慮の申し出について@ 相談者:身体の内部に障害があるCさん Cさんは腸に疾患があり、緊張したり大勢の中に入ると激しい腹痛などの症状に 見舞われます。 以前、自動車学校に通っている時、急に腹痛が起こり困った経験がありました。今回、 本免許を取得するにあたって運転免許試験場へ学科試験を受けに行きたいのですが、 また、同じような症状が起こることが心配で、なかなか受験することができません。 このような場合、何か配慮をお願いしてもいいのでしょうか。可能なら、お手洗いの 近い別室で受験したいのですが、わがままだと思われないでしょうか。 (対応と結果) 相談者へ、障害のある人が障害のない人と同等の機会の提供を受けることが出来るよう、 求めに応じて、話し合いながら現状・変更・調整等を行うことを合理的配慮といい、 合理的配慮をお願いすることは決して「わがまま」ではないことを伝えました。 相談者は、どこに、どのような形で配慮を伝えればよいのかがわからない状況にあった ため、当窓口から運転免許試験場の担当者へ相談内容を伝え、合理的配慮の提供について 確認を行いました。その後、 相談者へ、直接当該試験場の担当者へご自身の障害の状態やどのような配慮を希望する のかを伝え、相手方の事情も考慮しながら、ご自身が納得できる配慮を行ってもらえる よう話し合ってみることを助言しました。 後日、相談者から担当者に事情を伝え話し合った結果、1人別室で受験することができ、 無事免許を取得することができましたと、嬉しい報告がありました。 (広域専門相談員から) 合理的配慮は、障害のある人からの申し出があってから、提供する側との「建設的な 対話」を通じて具体化・決定されるものです。 本事案では、相談者は、申し出先や方法が分からない、申し出することを「わがままでは ないか」という不安な気持ちがありました。 合理的配慮は、障害のある人が日常生活や社会生活を送る上で生じる「社会的障壁」を 取り除くためのものです。申し出をためらわず、まずは相談してみることが第一歩と なります。 4 その他  (相談内容)合理的配慮の申し出についてA 相談者 肢体不自由のあるDさんの同行者Eさん Dさんは、肢体不自由があり車いすを利用しています。Dさんは、Eさんと一緒に長崎へ 旅行に行くことになりました。 Eさんは、事前にバス会社へ「車椅子利用者がバスを利用する際は、事前に申し出を 行った方がいいですか?」と問い合わせたところ、「事前に申し出を行わないでも、 その場でできる範囲内でお手伝いします」と返答がありました。 当日、バスを利用する際運転手の手伝いはなく、自分達で車椅子・キャリーケースを バスのトランクに積み込みました。 合理的配慮はこちら側から申し出る前に、相手側から積極的に声をかけることが大切 ではないでしょうか。 (対応と結果) バス会社へ状況確認を行った結果、運転手は車椅子を利用している方に気付き対応する ため車内マイクを外すなど準備を行い降車しましたが、たまたま別の乗客に声を掛け られ案内をしている間に、Eさん達は自分たちで車椅子や荷物をトランクへ積み込んで いたということでした。その時、 運転手はEさん達へ「ゆっくりでいいですよ」という旨の声掛けは行っていましたが、 タイミングが合わず手助けを行うことができなかったということでした。 (広域専門相談員から) 障害のある人への積極的な声かけは大切なことですが、合理的配慮は、障害のある人 から、配慮を求める意思表示があった時、負担が重すぎない範囲で対応を行うこと です。 合理的配慮の提供は、求める側と提供する側が、お互い話し合うことでどのような措置を 講ずるかを決定して行きます。障害のある人の状態や要望を把握するのはもちろんです が、提供する側の立場や状況を理解することも大切なことです。 本件に寄せられる相談のうち、公共交通機関での相談は年々減少傾向にあります。 公共交通機関利用について、視覚障害のある人から「白杖を持ちバス停で待っていたら、 運転手がわざわざバスから降りて来て声をかけてくれ、バスの乗降を手伝ってくれた」 身体障害のある人からは「バスに乗った際、運転手が席を譲るよう乗客へアナウンスを してくれて、私が席に座るまでバスを発車せず待っていてくれた」というような好事例も いただいております。 引き続き、条例の周知と共に障害や障害のある人に対する理解を深めていくため、取り 組みを行っていきたいと思います。 5 その他 (相談内容)近所の人から、差別的発言を受けた 相談者 精神障害のあるFさん Fさんは家を新築し、今の土地に引っ越してきました。最初は、近所の人たちはゴミ出し の手伝いをしてくれるなど優しく接してくれ、コミュニケーションを取る機会も多く ありました。その後、自分の病気のことを伝えていた方が良いと思い、精神障害がある ことを伝えました。その日を境に、近所の人たちの私に対する態度が一変しました。 私が家の前を通ると、わざとドアを強く閉めたり、無視したり、みんなから避けられる ようになりました。 これは、障害のある人への差別ではないのでしょうか。 (対応と結果) 条例では、何人も障害のある人に対して差別してはならないと規定しています。 しかしながら、社会的枠組みが介在しない私人間の問題は、調整の求めがあっても 傾聴にとどめることを基本方針としています。 Fさんが受けている行為は非常に残念なことですが、条例での対応は難しいことを 説明し、傾聴主体の対応を行いました。 (広域専門相談員から) 私人間に関して、他にも家族や近所の人から心ない言葉や対応に傷つき、辛い思いをした という相談が多く寄せられています。 障害のある人が地域の中で安心して暮らしていくには、一人ひとりの障害や障害のある人への 理解を深めていくことが大切です。 県では、小学生を対象とした条例リーフレットを作成し、県内の小学校・特別支援学校等へ 配布を行っています。 学校生活の中で、障害を理由とする差別について考える機会をもつことで、障害や障害の ある人を正しく理解し、子ども達に「障害のある人もない人もみんな同じ。障害のある人を 差別してはいけない。今日、家に帰ってから家族に話そう」という気持ちが生まれれば、 子どもを通じて家族に伝わり、それが少しずつ地域に広がることで、一人ひとりに障害のある 人に対して理解と配慮する気持ちが芽生えていくと思います。それがやがて「差別」のない あたたかい地域社会に繋がっていければと考えます。 W.障害理解・啓発活動                                  1.地域相談員研修会 県内2地区(壱岐会場、県央会場)で、地域相談員研修会を開催しました。研修会の前半 は、県条例について理解を深め、後半は、日常生活や社会生活の場面ごとに、差別事案の 対応を検討しました。 グループワークでは、障害のある人が暮らしやすい社会や街を作るために、私たちは どのように行動したら良いのか意見を交換し合い、参加者同士の交流を深める機会と なりました。 2.心の輪を広げる障害者理解促進事業 県では、毎年12月3日から9日までの『障害者週間』に合わせ、障害のある人とない人が 共に生きる社会の構築を目指し、内閣府との共催事業として、「心の輪を広げる体験 作文」と「障害者週間のポスター」の募集を行っています。 令和7年度は、作文部門で44編、ポスター部門で48点の応募をいただき、その中から 入賞作品を収録した作品集を作成し、県内の小・中・高等学校や行政機関、福祉団体、 障害者施設などに広く配布を行いました。 また、長崎県「障害者週間のポスター」小学生部門で最優秀賞を受賞した作品が、内閣 総理大臣表彰を受賞し、「障害者週間」広報ポスターとして、『障害者週間』を中心に 全国各地で掲載されました。 3.障害のある人もない人も共に生きる社会の実現を目指すための街頭キャンペーン 令和7年12月に、「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」 に基づき、県民の皆様に障害及び障害のある人に関する理解を深めていただくため、 長崎市浜の町アーケードにおいて、街頭キャンペーンを実施しました。県議会議員・ 障害者関係団体・県福祉保健部が参加し、多くの道行く人々に条例リーフレット・ 啓発物等を配布しました。 4.「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」認知度調査 ながさきWEBアンケート全モニター344名を対象に「障害のある人もない人も共に 生きる平和な長崎県づくり条例」の認知度調査を実施しました。  その結果、条例の認知度は35%、合理的配慮の認知度は61%でした。令和6年度の条例の 認知度33%、合理的配慮の認知度58%に対し、わずかながら上昇傾向にあると言えますが、 まだまだ広く県民に浸透している状況とはいえず、今後も認知度向上や理解促進に 努めていく必要があります。      5.「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」リーフレット (小学生版)追加作成 子どもの頃から、障害を理由とした差別を考える機会を持つことで、障害や障害の ある人を正しく知り、障害について理解を深めてもらい、障害のある人もない人も 共に生きる共生社会の実現につなげていくことを目的に、小学生を対象とした 「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」リーフレット (小学生版)を作成し、毎年、県内小学校、特別支援学校、市町障害福祉課等に 配布を行っています。 令和7年度は、新たに、社会の中の場面ごとで障害のある人へどのような配慮が できるのか、また、社会の中で見かける障害の人に関わるマーク等を紹介した リーフレットを追加作成しました 6.その他 12月3日から9日までの『障害者週間』に合わせ、長崎市イオンチトセピア店で、 条例リーフレットや啓発物を配布しました。 また、県の全世帯広報誌「つたえる県ながさき」では、県民の皆様へ障害のある人 に対する理解を深めることを目的とし、県条例と手話言語条例について紹介を 行いました。 おわりに 本県では、平成26年4月1日に「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり 条例」を施行し、条例施行後12年目となる令和7年度は、前年度の活動経験も踏まえ、 相談活動や条例の普及啓発に努めてきました。国においては、平成28年4月1日から 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、障害者差別解消法)」が 施行され、その後、令和3年5月1日に「障害者差別解消法」の一部を改正する法律が 成立し、令和6年4月1日にこの法律が施行されました。 この改正法では、障害を理由とする差別の解消の一層の推進を図るため、事業者に対して 社会的障壁の除去実施について必要かつ合理的配慮することを義務づけるとともに、 行政機関相互の連携強化を図るほか、障害を理由とする差別を解消するための支援措置を 講ずることとされています。 本県の条例もこの法律も、全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、 相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指しています。 今後も相談制度の適切な運営を図るとともに、法律と併せて、条例の更なる普及啓発に 努めてまいります。 相談・問合せ先 長崎県福祉保健部障害福祉課 広域専門相談員   〒850-8570 長崎市尾上町3-1 電話 (095)895-2450 ファックス (095)823−5082 メール 相談内容の入力フォームをホームページ内に掲載