【卒論紹介】イチゴ「恋みのり」における花芽早進化技術の検討(12月19日)
1.はじめに
  イチゴは11~12月出荷すると高単価が期待できるが、年内収量を確保するには、株冷等の花芽早進化技術を行う必要がある。また、長崎県では近年、「恋みのり」の栽培面積が増加している。そこで、「恋みのり」において花芽早進化技術を行い、生育や収量への影響について検証した。

2.材料および方法
 1)試験の実施場所  長崎県立農業大学校 園芸学科野菜コース イチゴハウス長崎型高設栽培
 2)供試品種     「恋みのり」
 3)試験区の設定
   株冷Ⅰ型  株冷期間:2023年8月25日~9月10日、定植:2023年9月10日
   株冷Ⅱ型  株冷期間:2023年8月30日~9月14日、定植:2023年9月14日
   株冷Ⅲ型  株冷期間:2023年9月 5日~9月20日、定植:2023年9月20日
     ※株冷:15℃の冷蔵庫に入庫。
   慣行区   定植:2023年9月22日
 4)調査項目及び調査方法
  ①生育調査  第1葉小葉長・第1葉葉柄長・草丈を2週間おきに測定。
  ②収量調査  株冷Ⅰ型・株冷Ⅱ型・株冷Ⅲ型・慣行区のイチゴの個数と重量を調査。
         芯どまり果発生率調査、頂果房の収穫開始日、収穫期間調査、経営調査。

3.結果
  表1 頂果房の出荷開始日、年内収量および総収量
  

  花芽早進化を行った区は、慣行区よりも30~19日早く出荷開始できた。年内収量も、慣行区に比べ大幅に確保できた。
  総収量においては、株冷Ⅰ型>株冷Ⅱ型>慣行区>株冷Ⅲ型の順となった。

4.考察
  花芽早進化技術を行うことで11月上旬から収穫でき、単価の高い時期に出荷できた。株冷Ⅰ型、株冷Ⅱ型、株冷Ⅲ型と慣行
 区(普通ポット)の4段階に作型を分けたことで、定植時期や収穫時期が分散化され、労力を分散できた。また、頂果房の収穫
 時期に幅が広がることで市場単価の動向による危険の分散が可能になる。株冷Ⅰ型は、年内収量、総収量ともに最も高く、「恋
 みのり」において大変有効な作型であると考えられた。

   (園芸学科野菜コース学生)