Q.地元の方々はなぜ開門差止めのために訴訟を起こしたのですか?

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開門の差止めを求めた経緯

 開門を求める方々が訴えた開門請求訴訟では、平成22年12月6日に福岡高裁において国に対して排水門を5年間にわたり常時開放することを命じる判決が言い渡され、開門には防災面などの問題が多いことは明らかでしたが、国は開門の影響を直接受ける諫早湾周辺地域の方々の理解を得ようとすることもなく、上告しないという判断をして、開門の義務を受入れてしまいました。

 平成20年3月の諫早湾干拓事業の完成により、地元の住民の方々は災害の危険から解放され、安心して生活できるようになり、調整池を水源とする農業用水が確保された諫早湾干拓農地では新たな農業経営がはじまったことに加え、諫早湾干拓地背後の旧干拓地でも用水不足や排水不良が解消され農業経営の安定が図られてきました。また、諫早湾内では新たな漁場環境にあわせてカキ、アサリの養殖に取り組まれるようになりました。

 このような、諫早湾干拓事業によってもたらされた地域の防災機能と農業基盤が開門によって失われ、新たな取組みが進む諫早湾内の漁業にも甚大な影響や被害をもたらすことが危惧されるため、新旧干拓地の農業者、漁業者、地域住民の合わせて約350名の方々が、それぞれの権利利益を守るとともに、地域の安全・安心と生活の基盤を守るため、やむにやまれず国に対して開門の差止めを求める訴訟を提訴されました。

 この訴訟は、平成29年4月17日、長崎地裁から開門の差止めを命じる判決が出され、その後、令和元年6月26日の最高裁決定によって判決は確定しています。

開門しない方向での司法判断の統一

 地元の方々が訴えた開門差止めの請求は認められましたが、平成22年12月6日の福岡高裁における開門を認める判決も残っています。

 そのため、国は開門確定判決後に事情の変動があったことから、開門確定判決の執行力の排除を求めて、平成26年1月に訴えを提起しました。令和4年3月に福岡高裁からこの国の訴えを認める判決が出され、令和5年3月には最高裁から、開門を求める漁業者らの上告を棄却する決定が出され、判決は確定しました。このように、現在は開門しない方向で司法判断が統一されています。

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