Q.諫早湾干拓事業にはどのような効果がありますか?(2)防災機能の強化

このページを印刷する
高潮被害の防止
台風常襲地帯である諫早湾沿岸

 長崎県は台風の常襲地帯であり、諫早湾を有する諫早市でも大きな台風被害が起きています。平成9年に諫早湾が締め切られる以前でみると、昭和60年の台風13号が特に大きな被害をもたらしており、更にさかのぼると昭和2年、大正3年には、台風の高潮とともに本明川も氾濫し、諫早平野は甚大な被害を受けたと記録されています。そのうち大正3年の台風については、堤防が決壊して諫早平野の家屋や水田に大きな被害をもたらしたことを記した碑が、諫早湾干拓事業を行う前の旧海岸堤防に建てられており、地域の記憶として受け継がれています。

潮受堤防による高潮の防止

 諫早湾干拓事業が行われる前の旧海岸堤防の標高は概ねプラス5メートル前後でしたが、潮受堤防の標高はプラス7メートルとなっており、高潮や波浪に対する直接的な防災機能が強化されるとともに、本明川の流れも高潮の影響を受けなくなるため、台風に伴う洪水も安全に流れるようになっています。

 この諫早湾干拓の潮受堤防の標高は、日本国内で過去に大きな災害をもたらした伊勢湾台風に相当する規模(上陸時気圧約930ヘクトパスカル)の高潮と波浪に対応した設計になっています。

洪水被害の防止
海面より低い干拓地

 諫早湾干拓事業で造成された農地の背後に広がる諫早平野は、古くからの干拓によって拓かれた水田地帯です。干拓は干潮のときに海面から現れる干潟を干し上げた土地であるため、諫早平野の大部分は大潮のときの満潮の海面よりも低い土地になります。

 海面より低い土地の排水は、潮が引いたときにしか自然に流れていかず、諫早湾干拓事業以前は諫早湾周辺に排水機場が、諫早市と雲仙市と合わせて、14カ所ありましたが、大雨のときはしばしば一時的に湛水し、道路が冠水する等の生活被害も生じていました。地域の住民の方々が従事する排水機場の操作についても、湛水が大きいときには潮が引いても湛水が潮と同じようには引いていかず、1日、2日連続して排水機場を運転させることもありました。諫早湾周辺地域の特性[PDFファイル/3MB]

調整池による旧干拓地の排水の改善

 潮受堤防の内側は、調整池として干潮のときに潮受堤防にある排水門から海へ排水を行うことで水位を管理しており、その調整池の水位は、平均海水面よりも1メートル低いマイナス1メートルが維持されるように管理しています。

 諫早湾干拓事業以前の旧干拓地は、最低標高が約マイナス0.8メートルの低平地で、その旧干拓地の標高よりも調整池の水位を低く維持することで、旧干拓地からの排水は潮の満ち引きの影響を受けずに自然に流れるようになりました。

 その効果として、近年は令和2年7月、令和3年8月と立て続けに記録的な豪雨が発生しましたが、諫早平野において大きな湛水被害が発生することはありませんでした。諫早湾干拓の防災機能[PDFファイル/581KB]

このページの掲載元

  • 諫早湾干拓課
  • 郵便番号 850-8570 
    長崎県長崎市尾上町3番1号
  • 電話番号 095-895-2051
  • ファックス番号 095-895-2595