気候変動適応策とは?

気候変動とは

「気候」は、一般的に「ある程度長い期間における気温や降水量などの大気の状態のこと」を指します。元々、気候は自然に変動や変化をしていますが、近年の気候にはこの自然変動や変化に、人間活動に由来する変動も加わってきています。これらの気温や降水量の変化などを広く「気候変動」と呼びます。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(2023)では、「人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことには疑う余地がなく、1850から1900 年を基準とした世界平均気温は2011から 2020 年に1.1°C の温暖化に達した」と示されました。
さらに、将来、温室効果ガスの排出量削減が最良のシナリオをとったとしても、短期的(2021年から2040年)には温暖化が進行し、全ての地域で21 世紀末に向けて気候変動への影響が高まると予測されています。本県においても、大雨特別警報の発令など異常気象の発生や熱中症搬送者数の増加傾向など、温暖化の影響と考えられる現象が既に現れています。

緩和と適応

気候変動(地球温暖化)の対策には、原因物質である二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を削減・抑制する「緩和策」と、気候変動による影響を軽減させ、有効に活用する「適応策」があります。緩和策は最も重要な対策ですが、最大限の排出削減の努力を行ったとしても、少なくとも今世紀半ばまでは温暖化が進行すると予測されており、これまで以上に深刻な影響(熱中症や感染症の増加、大雨の頻度と強度の増加、食料生産の減少等)が生じるといわれています。このような状況から、今後も継続的に適応策を実施する必要があります。

適応の事例として、例えば以下のようなものが挙げられます。

気候変動の影響と適応策の事例

農作物への影響と適応

←農産物への影響として有名なものの一つに、コメの白未熟粒の発生などがあります。

 

このことに対する「適応策」として、例えば高温耐性品種の開発・栽培が挙げられます。

気象現象の極端化(記録的な豪雨、台風の大型化)と適応

←近年、「50年に1度の豪雨」という言葉をよく聞くようになり、それに伴う土砂崩れや河川堤防の決壊等、甚大な災害が頻発している状況です。

 

このことに対する「適応策」として、堤防などの防災構造物の建築・増強などのハード面からの対策の他、お住まいの地域の防災情報やハザードマップの確認による避難ルートの想定等、日ごろの「備え」も含まれます。

長崎県の防災情報 長崎県防災ポータル

長崎県の防災情報全般
(防災気象情報・観測情報・避難・被害情報等)

NAKSS(長崎県河川砂防情報システム) 長崎県内河川の水位や雨量等の防災情報
各市町ハザードマップ 土砂災害のおそれがある区域や土砂災害時の避難所等
全国の防災情報 キキクル(気象庁) 大雨による災害発生の危険度の高まりを地図上で確認できる「危険度分布」

熱中症の増加と適応

←近年、熱中症搬送者数は増加傾向にあります。
 特に高齢者の搬送が多く、屋内での発生も報告されています。また、感染症対策としてマスクの着用は必須ですが、マスクの着用によって熱中症のリスクも高まるため、屋外で人と十分距離が確保できる場合は、一時的にマスクを外し、休憩をとることも重要です。

こまめな水分補給、屋内でのエアコンの使用、直射日光を遮る日傘や帽子の使用、熱中症警戒アラート(※)の確認などは、身近にできる「適応策」の一つです。
熱中症警戒アラートが発表されている時は、外出や外での運動を避け、熱中症予防行動を実践しましょう。

 

※熱中症警戒アラート:熱中症の危険性が極めて高くなると予想された際に、危険な暑さへの注意を呼び掛ける情報

(このページは気候変動適応情報プラットフォームで公開されている素材を一部使用しています。)

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