ニュース&トピックス

ここでは、気候変動(適応策)等に関するニュースやトピックスを紹介しています。

世界的動向

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の開催について(2021.10/31~11/13) 

気候変動対策を協議するCOP26が、イギリス・グラスゴーで11月13日に閉幕しました。
議長国イギリスのジョンソン首相が9月の国連総会で「人類にとってのターニングポイントになる」と呼びかけており、パリ協定以上の温室効果ガス削減目標強化というメッセージが打ち出せるか注目されていましたが、交渉を重ねた末、成果文書「グラスゴー気候協定」が採択されました。
世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5℃に抑えるという「1.5℃目標」の実現に向けて、さらに温室効果ガス排出量の大量削減を約束するため、各国は来年また集まると約束しました。

日本の岸田総理は11月2日のスピーチにおいて、『「2050年カーボンニュートラル」。日本は、これを、新たに策定した長期戦略の下、実現してまいります。2030年度に、温室効果ガスを、2013年度比で46パーセント削減することを目指し、さらに、50パーセントの高みに向け挑戦を続けていくことをお約束いたします。』と発言されています。
(リンク:環境省ホームページ(新しいウィンドウで開きます)

気候変動における政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第1部作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表

IPCC第54回総会及び同パネルWG1第14回会合が、令和3年7月26日(月曜日)から同年8月6日(金曜日)にかけてオンラインで開催され、平成25年の第5次評価報告書(AR5)WG1報告書以来8年ぶりとなる、AR6/WG1報告書のSPMが承認されるとともに、同報告書の本体や付録等が受諾されました。(リンク:環境省ホームページ(新しいウィンドウで開きます)気象庁ホームページ(新しいウィンドウで開きます)

前回の第5次評価報告書(AR5)では、“気候システムの温暖化は疑う余地はない”としながらも、“人間の影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高い”(※1)と、人間の影響について「可能性」という表現に留めていましたが、今回の第6次評価報告書(AR6)では、“人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない”(※2)と確定的な表現が使用されています。

将来予測については、第5次評価報告書(AR5)では予測シナリオとして「代表的濃度経路(RCP)」が使用されていましたが、第6次評価報告書(AR6)では、将来の社会経済の発展の傾向を仮定した「共有社会経済経路(SSP)」シナリオと「放射強制力(W/m2)」を組み合わせた5つのシナリオが使用されています。
この予測シナリオの中で、気候変動対策を講じず温室効果ガスの排出量が非常に多い場合のシナリオ(SSP5-8.5)では、長期的(2081‐2100年)に世界平均気温が4.4℃(最良推定値)上昇すると予測されています。

5つの排出シナリオにおける、将来的な20年毎の気温変動予測を示した表

産業革命前の1850年から1900年を基準とした、2100年までの世界平均気温の変化を示したグラフ

文中の引用:
※1 IPCC AR5 WG 1 SPM p.4
※2 IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書 気候変動2021:自然科学的根拠 政策決定者向け要約(SPM) 暫定訳(2021年9月1日版)p.4

表の引用:
IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書 気候変動2021:自然科学的根拠 政策決定者向け要約(SPM) 暫定訳(2021年9月1日版)p.16

図の引用:
IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書 気候変動2021:自然科学的根拠 政策決定者向け要約(SPM) 暫定訳(2021年9月1日版)p.26 図 SPM.8 パネルa)

県内のニュース&トピックス

長崎県気候変動適応センターのインタビュー記事がA-PLATに掲載されました(2022年4月)

令和4年4月6日付けで、国立環境研究所が運営する気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)に、当センターへのインタビュー記事が掲載されました。内容はセンター開設にあたっての経緯や課題、今後の展望などです。

興味を持たれた方は、是非「A-PLATホームページ(新しいウィンドウで開きます)」からインタビュー記事をご覧ください。

長崎県気候変動適応センターの写真

リーフレット「長崎県の気候変動」の最新版が長崎地方気象台・福岡管区気象台から発表されました(2022年3月)

福岡管区気象台から、最新の科学的知見にもとづき、気温や大雨等のこれまでの変化や21世紀末の予測を掲載した気候変動リーフレットが発表されました。これまでのリーフレットよりもさらに内容が充実し、今回は世界平均気温が2℃上昇した場合と4℃上昇した場合の将来予測の情報も盛り込まれています。
詳しくは、以下のPDFファイル又はURLからご確認ください。

リーフレット「長崎県の気候変動」(2022年3月)[PDFファイル/713KB]

リンク:九州・山口県の気候変動の現状と予測 (jma.go.jp)(新しいウィンドウで開きます)(福岡管区気象台のホームページ)

気候変動適応に係る啓発活動を実施しました!

気候変動適応に関する啓発活動を以下のとおり実施しました。

  • 気候変動適応に関する研修会(市町向け)
    10月15日(金曜日)に気候変動適応に関する研修会を実施しました。
    県内の市町担当者を対象に、国や県の気候変動に係る取り組みや、適応計画策定に対するアドバイスなどについて、県担当者(当センター含む)、環境省、気象庁及び国立環境研究所が講義しました。そして「地域における豪雨災害への適応、治水に関する適応策」と題した九州大学名誉教授の小松利光先生による講話では、豪雨災害発生のメカニズムや町内会による防災活動の事例などについて説明がありました。
    当センターでは、次年度において一般の方を対象とした同様のフォーラムや、現地へ出向いての出前講座などを検討しています。
  • ながさきエコライフ・フェスタ2021におけるパネル展示
    10月24日(日曜日)に、ながさきエコライフ・フェスタ2021に参加しました。
    当日は中島川公園にブースを設置し、センターの概要や気候変動適応に対する長崎県の取組を紹介したパネルを展示するとともに、手回し発電機による蛍光灯とLED電球の消費電力を比較する体験コーナーや、河川の水質の指標となる水生生物の標本展示などを行いました。
    来場者はご家族連れが多く、パネルの説明を聞いたり、こどもたちと一緒に体験コーナーに参加されたりと楽しまれている様子でした。特に手回し発電機は、こどもたちに大人気。LED電球の消費電力の少なさを実感できることもあって「電球の交換を検討してみようかな」という大人の声も聴かれました。

    エコライフフェスタ2021①エコライフフェスタ2021②

    ながさきエコライフ・フェスタ2021 写真:(左)パネル説明  (右)体験コーナー 

長崎県気候変動適応センターを開所しました!

令和3年10月1日の秋晴れの中、気候変動適応法第13条に基づく地域適応センターである「長崎県気候変動適応センター」(以下、「センター」)の開所式が執り行われました。
式典では、県民生活環境部次長及びセンター長から、気候変動の現状や適応策等についてお話しがありました。
当日は多くのテレビ・新聞記者の皆様がご来訪され、とても熱心に取材していただき、気候変動に対する関心の高さを実感いたしました。

開所されたばかりの当センターですが、気候変動及び適応策に関する情報を適切かつ迅速にお届けできるよう頑張ってまいりますので、皆様方のご理解・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

センター開所式(看板設置)

↑ 看板設置セレモニー
 (左)センター長 (右)県民生活環境部次長

センター開所式(所長インタビュー風景)

↑ センター長インタビュー

「藻場造成の最前線」として本県と壱岐市の取組についてA-PLATで紹介されました!

令和3年9月15日付けで、国立環境研究所が運営する気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)に、本県壱岐市で取り組まれている藻場造成に関するインタビュー記事が掲載されました。
長崎県の近海では、気候変動に伴う海水温の上昇により、これまで生育していた藻場構成種が生育しにくくなったことに加え、海藻の食害の原因となる食害生物の活動期間が長くなることで、磯焼けが深刻化しています。
これに対し、県と壱岐栽培センターは比較的食害に遭いにくく、高水温にも強いという特徴を持つ「ホンダワラ種」を用いた藻場造成に取り組んでいます。
インタビュー記事では、県水産部の担当者及び壱岐栽培センター所長により、本県の磯焼け現状、「ホンダワラ種」による藻場造成技術についての苦労話、今後の展望などについて掲載されています。

興味を持たれた方は、是非こちら「A-PLATホームページ(新しいウィンドウで開きます)」からインタビュー記事をご覧ください。

土砂災害(令和3年8月)

令和3年8月の記録的な豪雨により、県内でも土砂崩れによる犠牲者や生活、社会、経済などに被害が生じました。
特に雲仙市では大規模な土砂崩れが発生し、多くの方が避難を余技なくされるなど県民の皆様の生活に多大な影響を与えています。

気象庁のデータ(観測所:雲仙岳)によると、8月12日の月最大24時間降水量は、8月の観測史上1位(569.5mm)を記録しています。また、月降水量としても8月が観測史上1位(1587.5mm)を記録し、8月の平年値(314.4mm)の実に5倍以上の降雨があったことになります。
IPCC第6次評価報告書では、考慮したすべての温室効果ガスの排出シナリオで、少なくとも今世紀半ばまで気温上昇が続くと予測しているとともに、地球温暖化の進行により例えば極端な高温、大雨、干ばつ等の極端現象は拡大し続けると述べています。

私たちも、今回のような豪雨災害が「いつ自分の身に降りかかってもおかしくない」ということを念頭に置いた対策(適応策)を講じていく必要があります。
写真:令和3年8月の豪雨に伴う雲仙市内の土砂災害(農林水産部、県民生活環境部提供)

雲仙市の土砂災害の様子1雲仙市の土砂災害の様子2

 

 

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