気候変動情報(現状と予測)

長崎県の気候変動の現状

気象庁のデータに基づく、長崎県の現状について紹介します。
詳細:福岡管区気象台「九州・山口県の気候変動の現状と予測」

<気温・水温>

長崎の年平均気温は、100 年あたり1.5℃の割合で昇温しています。これは、日本の年平均気温の上昇(1.35℃/100 年)割合よりも大きい値です(福岡管区気象台ホームページ、2024)。

長崎 年平均気温(1879-2023)<長崎の年平均気温の推移(福岡管区気象台ホームページ、2024)> 

また、長崎県の近接海である東シナ海北部の年平均海面水温は、100 年あたり1.31℃の割合で昇温しています。これは、世界全体の海面水温の上昇率(0.61℃/100 年)より大きい値となっています。
これらの気温及び水温の上昇に伴い、以下のような影響が表れています。

  • 真夏日、猛暑日、熱帯夜の日数は増え、冬日の日数が減る傾向にあります。
  • 春の“さくら”開花日は時期が早まり、秋の“かえで”紅葉日は遅くなる傾向にあります。
さくら開花日 かえで紅葉日
長崎県内におけるさくら開花日、かえで紅葉日の変化傾向(福岡管区気象台ホームページ、2024)

<降水量>

短時間強雨(1時間50mm以上)

長崎県における短時間強雨(1時間50mm以上の非常に激しい雨)年間発生回数は、有意な変化傾向はみられません。
空間的な広がりが小さい短時間強雨などの極端な現象の場合、県単位ではサンプル数が少なく統計的な傾向が出にくい場合があり、九州・山口県に範囲を広げると、1時間降水量50mm以上には増加傾向が現れ、最近10年間(2014から2023年)の平均年間発生回数(約0.51回)は、(1979から1988 年)の平均年間発生回数(約0.36回)と比べて約1.4倍に増加しています。

長崎県 降水量 50mm以上 九州北部 降水量 50mm以上
長崎県と九州・山口県の短時間強雨(1時間降水量50mm以上)の年間発生回数(福岡管区気象台ホームページ、2024)
年降水量と無降水日数

長崎県の年降水量(年間の合計降水量)には統計的に有意な変化傾向は確認されていません。一方で、無降水日数は有意に増加しているとみられます(信頼水準90%以上で統計的に有意)。全国的な傾向として、極端な大雨の日数が増加していることとあわせて、大雨の頻度が増える反面、降水がほとんどない日も増加しています。

長崎年降水量(1872-2023) 長崎 無降水日数
長崎県の年降水量と年間無降水日数(福岡管区気象台ホームページ、2024)

気候の変化(将来予測)

気象庁のデータに基づく、長崎県の将来予測について紹介します。
詳細:福岡管区気象台「九州・山口県の気候変動の現状と予測」

ここでは、九州・山口県で20世紀末(1980から1999 年)から21世紀末(2076から2095 年)の間に起きると予測される気候の変化について示します。また、予測結果は、以下の2通りの設定(シナリオと呼びます)で行った予測の結果を示しています。

  • 4℃上昇シナリオ(RCP8.5):21世紀末の世界平均気温が工業化以前と比べて約4℃上昇。追加的な緩和策を取らなかった世界に相当。
  • 2℃上昇シナリオ(RCP2.6):21世紀末の世界平均気温が工業化以前と比べて約2℃上昇。パリ協定の2℃目標が達成された世界に相当。

※2081から2100年平均

<気温>

平均気温

九州北部地方の年平均気温は、20世紀末に比べて、21世紀末には4℃上昇シナリオで約4.1℃、2℃上昇シナリオで約1.3℃上昇すると予測されます。

将来予測(平均気温)4℃上昇シナリオ 将来予測(平均気温)2℃上昇シナリオ
九州北部地方の年平均気温の予測分布(左:4℃上昇シナリオ 右:2℃上昇シナリオ)(福岡管区気象台ホームページ、2024)
真夏日・猛暑日・熱帯夜・冬日

真夏日・猛暑日・熱帯夜・冬日について、九州北部地方の予測結果は次のとおりです。(20世紀末と比較した21世紀末の予測)

予測項目 4℃上昇シナリオ 2℃上昇シナリオ

真夏日
(日最高気温が30℃以上の日)

約60日増加 約17日増加

猛暑日
(日最高気温が35℃以上の日)

約28日増加 約4日増加

熱帯夜
(日最低気温が25℃以上の日)

約59日増加 約17日増加

冬日
(日最低気温が0℃以下の日)

約28日減少 約12日減少

<降水量>

年降水量

九州北部地方の21世紀末の年降水量は、4℃上昇シナリオ、2℃上昇シナリオともに20世紀末に比べて有意な変化は予測されていません。

短時間強雨・大雨・年最大日降水量・無降水日数

短時間強雨・大雨・年最大日降水量・無降水日数について、九州北部地方の予測結果は次のとおりです。(20世紀末と比較した21世紀末の予測)
短時間強雨の頻度が増加する最大の要因は、気温の上昇により、大気中に含まれうる水蒸気が増加することと考えられます。
また、降水量の頻度の定量的な増加率については不確実性が大きいことに注意が必要です。

予測項目 4℃上昇シナリオ 2℃上昇シナリオ

短時間強雨
(1時間に50mm以上)

約1.9倍増加 約1.3倍増加

大雨
(1日に200mm以上)

約2.5倍増加 約1.6倍増加

年最大日降水量

約41mm増加 約19mm増加

無降水日数
(日降水量1.0mm未満)

約10日増加 有意な変化なし

台風・海面水温・海面水位

台風・海面水温・海面水位の予測結果を紹介します。詳しくは、文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020」本編第9章、第13章、第15章を参照してください。

台風の変化
  • 日本付近の台風の強度は強まると予測されます。
  • 猛烈な台風に着目すると、日本の南海上で存在頻度(一定期間当たりに、その場所に存在する個数)が増加すると予測されます。
海面水温の変化
  • 日本近海の平均海面水温の上昇の度合いは、20世紀末(ここでは1986から2005年平均)に比べて、21世紀末(ここでは2081から2100年平均)には、4℃上昇シナリオでは3.6±1.3℃、2℃上昇シナリオでは1.1±0.6℃と予測されます(不確実性の幅は90%信頼区間)。
海面水位の変化
  • 本沿岸の平均海面水位の上昇の度合いは、20世紀末(ここでは1986から2005年平均)に比べて、21世紀末(ここでは2081から2100年平均)には、4℃上昇シナリオでは0.71m(0.46から0.97m)、2℃上昇シナリオでは0.39m(0.22から0.55m)と予測されます。

気候変動の観測・予測データ WebGIS

本ページの情報以外でも、国の気候変動適応センターが運営する気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)では、様々な気候シナリオ、予測項目を対象とした予測結果が地図上(WebGIS)で表示されるツールが公開されています。詳細は気候変動の将来予測WebGISをご参照ください。

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