建築物などの解体工事にかかる石綿(アスベスト)飛散防止の対策が強化されています

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 大気汚染防止法の改正により、石綿(アスベスト)にかかる規制が強化されています。

石綿(アスベスト)とは

 耐火、耐熱、防音等の性能に優れた天然の鉱物であり、安価で加工しやすいことから、多くが建築材料に使用されてきました。代表的な石綿には、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトなどがあります。

 石綿は、吸引することにより、肺がんや中皮腫などの健康被害を引き起こすことが判明しているため、日本では現在製造・使用等が禁止されていますが、過去に使用されたものが建築物等に残存しており、解体等の際に不適切な作業を行うと石綿が飛散するおそれがあります。

代表的な石綿(アスベスト)

 

大気汚染防止法の改正

 令和3年4月1日施行の大気汚染防止法改正の概要を下表のとおりまとめています。

大気汚染防止法改正の概要
     【環境省】令和2年大気汚染防止法改正チラシ[PDFファイル/756KB]
     【環境省】令和2年大気汚染防止法改正リーフレット[PDFファイル/4MB]

 

1.特定建築材料の対象拡大

 これまで、「特定建築材料」に該当する建築材料は、「吹付け石綿」および「石綿を含有する断熱材、保温材および耐火被覆材」でしたが、レベル3の石綿含有成形板などを含む全ての石綿含有建材が「特定建築材料」に該当するように規制対象が拡大されました。(石綿の含有の考え方は、意図的に石綿が含有されたもの又は石綿の重量が当該建築材料の重量の0.1%を超えるもの。)
 なお、レベル1、レベル2の特定工事を行う際には、特定粉じん排出等作業実施届が必要となります。

特定建築材料の分類

 

2.事前調査

 建築物・工作物の解体・改造・補修工事を行う際には、石綿含有建材の有無について事前に確認する必要があります。
     【環境省】(発注者向け)事前調査周知チラシ[PDFファイル/1MB]

(1)事前調査の方法の法定化

 設計図書その他の書面による調査および現地での目視による調査を行う必要があります。書面および目視での調査によっても、石綿含有が明らかにならなかった際には、分析による調査を行う必要があります。(平成18年9月1日以降は新たな石綿の使用が禁止されたことから、それ以降に設置の工事に着手したことが明らかな建築物は、設計図書等の書面で着工日を調査するだけで構いません。)

(2)必要な知識を有するものによる事前調査の実施

 調査については、下記のとおり資格者が行うことが望ましいとされています。(令和5年10月からは下記のものが調査を行うことが義務付けられます。)
   ・ 一般建築物石綿含有建材調査者
   ・ 特定建築物石綿含有建材調査者
   ・ 一戸建て等建築物石綿含有建材調査者
   ・ 日本アスベスト調査診断協会に登録された者

    【環境省】事前調査者の資格に関するチラシ[PDFファイル/399KB]

(3)事前調査結果の説明、記録の作成、保存

 解体等工事の元請業者は事前調査の結果、事前調査の方法、調査者について発注者に対し説明を行う必要があります。具体的には、事前調査の結果石綿が含まれるかどうかの判定およびその根拠、実際に行った調査の方法(書面、目視、もしくは分析調査)、調査を行った者の資格等を記載した書面を作成したうえで、発注者に説明し、結果を工事完了から3年間保存する必要があります。

(4)事前調査結果の現場での掲示

 事前調査の結果は、当該解体工事の現場に掲示する必要があります。掲示はA3サイズ以上の大きさで作成する必要があり、公衆の見やすい場所に掲示する必要があります。

(5)事前調査結果の都道府県等への報告(令和4年4月1日から)

 解体工事等の元請業者又は自主施工者は、事前調査を行ったときにはその結果を都道府県等へ報告する必要があります。

   対象工事
対象工事

   (1) 建築物を解体する作業を伴う建設工事であって、当該作業の対象となる床面積の合計が80m2以上であるもの
   (2) 建築物を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金の合計額が100万円以上であるもの
   (3) 工作物を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金の合計額が100万円以上であるもの
     * 事前調査の実施、調査結果の保存等は、上記(1)(2)(3)以外の工事であっても必要です。

      【環境省】事前調査結果の報告に関するチラシ[PDFファイル/482KB]

 

 報告は、原則として、電子システムにより行ってください。ただし、様式第3の4による報告書(紙)によって行うこともできます。
 また、石綿事前調査結果報告システムの利用にあたっては、「gBizID」への登録が必要となります。
 事前調査結果報告システムを利用することにより、大気汚染防止法に基づく都道府県等への報告及び石綿障害予防規則に基づく労働基準監督署への報告を同時に行うことができます。

   石綿事前調査結果報告システム(厚生労働省ウェブサイトへのリンク)
   石綿事前調査結果報告システムに関する説明(環境省ウェブサイトへのリンク)
   「gBizID」に関する説明(デジタル庁ウェブサイトへのリンク)

 

3.事前調査により特定建築材料の使用が判明した場合の対応
(1)特定粉じん排出等作業実施の届出(レベル1、レベル2の建材の場合に限る)

 事前調査の結果、レベル1(石綿含有吹付材)、レベル2(石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材)が使用されていたことが判明した場合、工事の発注者は石綿除去作業の開始14日前までに、特定粉じん排出等作業実施届出書を管轄保健所(長崎市または佐世保市の場合は市役所)へ提出する必要があります。

   特定粉じん排出等作業実施届出書(様式)(長崎県申請書ダウンロードサービスへのリンク)

 

(2)作業が適切に行われたことの確認

 特定建築材料が使用されている建築物・工作物の解体・改造・補修作業を施工するときには、大気汚染防止法で定める作業基準を遵守し、作業が適切に行われたことの確認を行う必要があります。
  1 知識を有するものによる取り残しの有無の確認
    作業完了の目視確認を、建築物石綿含有建材調査者などの資格者が行う必要があります。
  2 作業の記録
    作業中の負圧状況の確認、集じん機・排気装置の稼動状況確認などについて記録を行い、工事完了まで保存する必要があります。
  3 作業結果の発注者への書面での報告・記録
    元請業者は、特定粉じん排出等作業が完了した際には、その作業に関する記録を作成し、発注者に対し書面で報告する必要があります。また、その報告書について、工事完了から3年間保存する必要があります。

 

県央保健所での対応

 県央保健所では、管内の特定粉じん排出等作業実施届出の受理および作業実施前の立入調査を行っています。また、令和4年4月1日からは事前調査結果を紙の報告書で提出する場合の受付機関となります。

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