ポリ塩化ビフェニル(PCB)とは

このページを印刷する

ポリ塩化ビフェニル(PCB)とは、人工的に作られた主に油状の化学物質です。PCBの特徴として、

  1. 水に溶けにくい
  2. 沸点が高い
  3. 熱で分解しにくい
  4. 不燃性
  5. 電気絶縁性が高い

このように、化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されていましたが、その毒性が明らかになり、現在は製造・輸入ともに禁止されています。 

(1)PCBの用途

用途 製品例・使用場所
絶縁油 トランス用 ビル・病院・工場・鉄道車両・船舶等の変圧器
コンデンサ用 蛍光灯の安定器・テレビ・電子レンジ等の家電用コンデンサ、直流用コンデンサ、蓄電用コンデンサ、医療用X線装置用コンデンサ
熱媒体(加熱用、冷却用) 各種化学工業・食品工業・合成樹脂工業等の諸工業における加熱と冷却、船舶の燃料油予熱、集中暖房、パネルヒーター
潤滑油 高温用潤滑油、油圧オイル、真空ポンプ油、切削油、極圧添加剤
可塑剤 絶縁用

電線の被膜・絶縁テープ

難燃用 ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂
その他 ニス、ワックス、アスファルトに混合

感圧複写紙

塗料・印刷インキ

ノンカーボン紙(溶媒)、電子式複写紙

印刷インキ、難燃性塗料、耐食性塗料、耐薬品性塗料、耐水性塗料

その他 紙等のコーティング、自動車のシーラント、陶器ガラス器の彩色、農薬の効力延長剤、石油添加剤

【注】環境省の「ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正な処理に向けて(2009年版)」より引用

(2)PCBの毒性

脂肪に溶けやすいという性質から、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、様々な症状を引き起こすことが報告されています。PCBが大きく取りあげられる契機となった事件として、昭和43年(1968年)に食用油の製造過程において、熱媒体として使用されたPCBが混入し、健康被害を発生させたカネミ油症事件があります。カネミ油症は、昭和43年10月に、西日本を中心に、広域にわたって発生した、ライスオイル(米ぬか油)による食中毒事件です。中毒症状として、目やに、爪や口腔粘膜の色素沈着、ざ瘡様皮疹(塩素ニキビ)、爪の変形、まぶたや関節の腫れなどが報告されています。

(3)関係法令

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正処理の推進に関する特別措置法

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

このページの掲載元