長崎県男女共同参画推進条例

長崎県男女共同参画推進条例

(平成14年3月27日長崎県条例第10号)
改正 平成15年10月14日長崎県条例第59号
 
長崎県男女共同参画推進条例をここに公布する。
 
長崎県男女共同参画推進条例
 

目次

 前文
 第1章 総則(第1条―第6条)
 第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策等(第7条―第16条)
 第3章 男女共同参画を阻害する行為の制限(第17条―第19条)
 第4章 長崎県男女共同参画審議会(第20条)
 第5章 雑則(第21条)
 附則
 
 男性と女性のお互いの基本的人権が尊重され、性別にかかわりなく、個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現は、21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置づけられている。
 少子高齢化の進展が著しい長崎県においては、課題達成はより緊急なものとなっているが、現状では、性別による固定的な役割分担意識やこれに基づく社会における制度又は慣行は依然として存在し、政策及び方針の決定過程への女性の参画は未だ不十分と言わざるを得ない状況にある。
 長崎県民が、その地域性や県民性を活かし、社会経済情勢の変化に柔軟に対応しながら、生きがいと責任を持って暮らす活力ある豊かな社会を形成していくためには、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進を図っていくことが重要である。
 ここに、男女共同参画社会の実現を目指し、県、市町村、県民及び事業者が協働して男女共同参画の推進に取り組むため、この条例を制定する。
 

第1章 総則

 
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、県の施策について必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
 
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 (1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画
 する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、社会的、経済的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に
 責任を担うことをいう。
 (2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか
 一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
 (3) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の就業環境その他の生活環境を害し、又は性的な言動に対する
 相手方の対応によってその者に不利益を与えることをいう。
 
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会における制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼさないように配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、男女が、社会の対等な構成員として、県における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動と当該活動以外の活動とを両立できるようにすることを旨として、行われなければならない。
5 男女共同参画の推進に向けた取組が国際社会における取組と密接な関係を有していることから、男女共同参画の推進は、国際的協調の下に行われなければならない。
 
(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、これを実施するものとする。
2 県は、男女共同参画の推進に関する施策の実施に当たっては、市町村、県民及び事業者と協働して取り組むものとする。
3 県は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に企画し、調整し、及び推進するために必要な体制及び機能を整備するとともに、財政上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとする。
 
(県民の責務)
第5条 県民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に積極的に努めるとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するように努めなければならない。
 
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、男女共同参画の推進に積極的に努めるとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するように努めなければならない。
2 事業者は、その雇用する男女について、雇用上の均等な機会及び待遇を確保するとともに、職業生活における活動と家庭及び地域生活における活動とを両立して行うことができる職場環境を整備するように努めなければならない。
 
 

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策等

 
(基本計画の策定)
第7条 知事は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 (1) 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画の推進に関する施策の大綱
 (2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ県民の意見を聴き、長崎県男女共同参画審議会に諮問するとともに、議会の議決を経なければならない。
4 知事は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
 
(積極的改善措置への協力等)
第8条 県は、市町村、県民及び事業者が積極的改善措置を講ずるために必要な情報の提供、相談、助言その他の協力を行うものとする。
2 県は、その附属機関等における委員を任命し、又は委嘱する場合にあっては、積極的改善措置を講ずることにより、できる限り男女の均衡を図るものとする。
 
(男女の職業生活と家庭及び地域生活の両立の支援)
第9条 県は、男女が共に職業生活における活動と家庭及び地域生活における活動とを両立することができるように支援するものとする。
 
(農林水産業及び商工業等自営業の分野における環境整備)
第10条 県は、農林水産業及び商工業等自営業の分野において、男女がその能力を十分に発揮し、適正な評価を受け、対等な構成員として方針の立案及び決定の場に参画する機会が確保されるため必要な環境整備に努めるものとする。
 
(民間活動への支援)
第11条 県は、民間の団体が行う男女共同参画の推進に関する活動に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
 
(男女共同参画に関する教育及び普及啓発並びに人材養成)
第12条 県は、広報活動の充実を図り、男女共同参画に関する県民及び事業者の理解を深めるとともに、学校教育その他あらゆる分野の教育において、男女共同参画の視点に立った教育を行う等男女共同参画を推進するための措置を講ずるように努めるものとする。
2 県は、前項に規定する教育及び普及啓発等男女共同参画を推進するための人材を養成するものとする。
 
(相談等の処理)
第13条 知事は、性別による差別的取扱いその他男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害に関し、県民から相談があった場合は、これを関係機関と連携し適切に処理するものとする。
2 知事は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について、県民又は事業者から苦情の申し出があった場合は、これを適切に処理するものとする。
3 知事は、前項の場合において、必要があると認めるときは、長崎県男女共同参画審議会の意見を聴くことができるものとする。
 
(調査研究)
第14条 県は、男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な事項及び男女共同参画の推進を阻害する問題についての調査研究を行うものとする。
 
(事業者への協力依頼)
第15条 県は、男女共同参画推進に当たり必要があると認められる場合には、事業者に対して、雇用その他の事業活動における男女共同参画の実態を把握するための調査について、協力を求めることができるものとする。
 
(年次報告)
第16条 知事は、毎年、男女共同参画の状況及び基本計画に基づく施策の実施状況を明らかにする報告書を作成し、これを公表するものとする。
 
 

第3章 男女共同参画を阻害する行為の制限

 
(性別による権利侵害の禁止)
第17条 何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。
2 何人も、あらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントに該当する行為を行ってはならない。
3 家庭内等において、配偶者等に対して身体的又は精神的な苦痛を著しく与える暴力的行為を行ってはならない。
 
(性別による権利侵害があった場合の措置)
第18条 県は、前条の規定に違反する行為があったと認められる場合は、当該行為をした者に対し、差別的取扱いの改善その他必要な措置を講ずるように指導を行うことができるものとする。
2 県は、前条の規定に違反する行為があったと認められるときは、当該行為の被害者を救済するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
 
(公衆に表示する情報に係る制限)
第19条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担意識を助長するような表現その他の男女共同参画の推進を阻害するおそれのある表現を行わないように努めなければならない。
 
 

第4章 長崎県男女共同参画審議会

 
(長崎県男女共同参画審議会)
第20条 男女共同参画の推進に関する重要事項について、知事の諮問に応じて調査審議するため、長崎県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、前項の規定による調査審議のほか、男女共同参画に関する事項について、知事に意見を述べることができる。
3 審議会は、委員20人以内で組織する。
4 委員は、男女共同参画の推進に関して識見を有する者のうちから知事が任命する。
5 男女のいずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。
6 委員の任期は2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 委員は、再任されることができる。
8 第2項から前項までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、知事が別に定めるものとする。
 
 

第5章 雑則

 
(規則への委任)
第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めるものとする。
 

附則

この条例は、平成14年4月1日から施行する。
 

附則(平成15年条例第59号)抄

(施行期日等)
1 この条例は、公布の日から施行し、同日以降に策定される計画について適用する。

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